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春の訪れを知らせる、森のにんにく「ベアラオホ」

ドイツの春の味「ベアラオホ」の季節がやってきました。ベア=熊、ラオホ=ネギの意味で、通称「熊ネギ」と呼ばれるこの野菜は、笹のような細長い葉の形をしていますが、匂いも味もニラにそっくりです。この名前は、冬眠から覚めたクマが体力を回復するためにベアラオホを最初に食べたことに由来するそう。ドイツでは「森のにんにく」とも呼ばれ、日本の「行者にんにく」と同じ風味と健康効果があると言われています。欧州のあちこちで春の季節にニョキニョキと育つベアラオホは、ユリ科ネギ属の多年草、湿気の多い半日陰に群生します。葉の長さは約15cm、幅5cmほどの流線形で、球根は大きさも形もラッキョウに似ています。花が育ってしまうと大き過ぎて味も落ちてしまうので、食べられるのはピーク時の1~2週間が狙い目です。

湿地帯いっぱいに群生するベアラオホ湿地帯いっぱいに群生するベアラオホ

基本的に海抜が低い地形のライプツィヒには、北海からエルベ河を通って運河がいくつも流れています。それらの運河近くの緑地帯には延々とベアラオホが群生し、ニンニクに似たむわっとする匂いを強烈に放ちます。天気の良い週末には、散歩がてらベアラオホを摘みに行く人たちでいっぱいです。去年はタイミングを逃してしまったので、今年こそはと私たち家族も週末にベアラオホ摘みに出かけてきました。1つの束からすべての葉を摘んでしまわずに、数枚を自然のなかに残してあげるのがルールです。根っこから引っこ抜くのは絶対にやってはいけないため、葉を1枚1枚丁寧に手摘みします。袋が葉でいっぱいになると、私の手もベアラオホの匂いしかしなくなりました。ベアラオホのすぐ脇には毒性のスズランがよく生えているので、注意が必要です。葉の形と匂いが違うので、注意してよく見ると分かります。

さて、ベアラオホはスープにしたり、サラダに混ぜたりして食べますが、一番人気は細く刻んで松の実やひまわりの種とたっぷりのパルメザンチーズ、そしてオリーブ油に漬け込んだペースト。それをパンに載せたり、パスタに混ぜていただきます。またパン屋ではベアラオホを混ぜたパンが並び、あちこちでベアラオホチーズやベアラオホソーセージなどが季節ならではの食べ物として登場します。ニラと似ているので、餃子にしたりチヂミにしてもおいしいですよ。寒く長かった冬を越えて、ベアラオホのむわっと広がるにんにくのような匂いが、私にはドイツの春の訪れを感じさせてくれます。

自家製ペーストのパスタ自家製ペーストのパスタ

ミンクス 典子
福岡県出身。日独家族2児の母。「働く環境」を良くする設計を専門とする建築家。2011年に空き家再生社会文化拠点ライプツィヒ「日本の家」立ち上げ、18年まで共同代表。15年より元消防署を活用した複合施設 Ostwache共同代表。
www.djh-leipzig.de
 
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