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都市ガーデン「アナリンデ」

ライプツィヒ西部の住宅街の奥に、「アナリンデ(Annalinde)」という都市ガーデンがあります。ここは昨年、5人の若者が「参加可能な都市生活」をキーワードに始めたコミュニティー・ガーデン。地域に開かれたガーデンを目指して、毎年契約を更新することを条件に市の所有地を暫定的に借り、欧州連合(EU)の助成プログラムとミュンヘンのガーデニング助成財団から支援を受けながら活動しています。具体的には、ごみの溜まり場だった空き地をきれいに掃除し、パン屋で使われていた箱やパレットを再利用した移動可能なプランターに、化学肥料未使用で品種改良をしていない野菜や植物の種を植えています。

見晴らし台から
見晴らし台から望むアナリンデ

アナリンデの庭の手入れは、運営者である2人のガーデナーが行っていますが、4~10月の間、週3日間一般開放されており、誰でも自由に庭作業に参加可能。カフェも設置されています。今年から養鶏や養蜂が始まり、地域の小学生たちが定期的に訪れるプログラムもスタートしました。

カフェとガーデナーのユリ
廃車を利用したカフェとガーデナーのユリ。手作り家具は椅子や机としても機能している

この都市ガーデンの活動が始まった当初は関心が薄かった近隣の住民たちも、庭作業に参加できることが分かると足繁く通うようになり、メディアに大きく取り上げられた効果もあって、来場者はどんどん増えているそうです。ここは、ちょっと訪れて安らぐための公園とは異なり、自ら積極的に庭作業を体験できる場所として、今では市の中でも特に重要な場所になっています。

運営者たちは、市の政治家や行政職員たちが考える都市のビジョンとは違い、自分たちの手で都市をつくることに主眼を置いています。現代人の生活においては、大部分が受け身な「消費」に偏っていて、自ら生産活動に携わる機会はなかなかありません。また、田舎から都市部へ移住する人の数が増え、都市の役割がますます重要性を帯びている中で、都市の未来像はこれまでとは変わり、限られた土地や緑を大切にして、消費と生産のバランスを確保していかなければならなくなるはず。「現在の都市の状態は不健康で、本当に人々にとって必要な様々な視点が欠けている」と代表者のヤコプ・オッティリンガーは言います。彼らは、環境保護の観点からも都市の中に緑を増やし、野菜もスーパーマーケットで購入するだけでなく、自分で育てて食べるという持続可能な生活が今後重要になってくると考え、都市ガーデンを提案、実践しているのです。

厳しい冬を乗り越えて、アナリンデは4月13日(土)から再開します。

Garten Annalinde
Zschochersche Str. 12, 04229 Leipzig
http://ifzs.de
開園:4~10月の木金土15:00~20:00

ミンクス 典子
福岡県生まれ。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の建築設計事務所に所属し、10年に「ミンクス.アーキテクツ」の活動を開始。11年よりライプツィヒ「日本の家」の共同代表。www.djh-leipzig.de
 
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