わが家から最寄りのSバーンの駅は、ヒルシュガルテン。これを日本語に訳すと「シカ公園」です。この駅名は近所にある同名の公園の名前から取られているのですが、なんとその公園には本物のシカがいるのです! あるとき、この公園でシカたちの写真を撮影し、奈良の知人たちに送って「ここはどこでしょう?」と尋ねたところ、全員が「奈良」と答えました。奈良県の公式HPによると、奈良公園のシカは野生ですが、こちらのシカは2ヘクタールほどの囲いの中で飼育されていて、自由に歩き回っています。
公園名の由来となったシカたち
草やリンゴなどはシカに与えていいことになっているので、いつも子どもたちがフェンスの隙間からエサを与えて喜んでいます。小さい頃から、こうやって動物と触れ合う機会があるのは良いことですね。今は平和に過ごしているこのシカたちですが、かつてここにいたシカたちはヴィッテルスバッハ家の狩のために飼われていたそうです。夏の離宮であるニンフェンブルク城が近いので、当時この辺りは都の外の辺境だったのでしょう。
シカの囲いの隣は、夏場はビアガーデンとなり大変にぎわいます。サバのグリルもありますよ。公式ホームページによると8000席以上もあり、世界最大級とのこと。その頃には、近くにメリーゴーランドも登場します。秋は黄葉が美しく、散歩するには良い季節です。ほかにも園内には子どもの遊び場、スケートボードリンク、バスケットコートなどが点在しているので、幅広い年代が訪れます。
秋のヒルシュガルテン。奥に見える丘は、冬になると子どもたちのそり遊び場に
そして冬になると、ビアガーデンがあった場所は小さなスケートリンクとアイスシュトックシーセン場に早変わり。アイスシュトックシーセンは、13世紀ごろに始まった、カーリングに似たスポーツゲーム。特に南ドイツ、オーストリアで盛んだそうです。氷のレーンの上で、カーリングと同じようなストーンを、ゴールの円を目がけて滑らすように投げます。カーリングと違うのは、スイーパーがいないこと。個人対抗戦方式と、4人1組のチーム対抗戦方式があり、私もいつか挑戦してみたいですが、ボーリングが大の苦手なので難しいかもしれません。
冬の風物詩アイスシュトックシーセン場
冬のもう一つの楽しみは、そり遊び。公園内にはなだらかな丘があるので、雪が降ると、そりをひいた家族が詰めかけ、子どもたちの歓声で溢れます。そして待ちに待った春には、さまざまな草花が咲き、これまた散歩にはもってこいです。
このように、四季折々の魅力にあふれたヒルシュガルテン。ミュンヘンにお住まいでしたら、ぜひ一度足を運んでみてください。
イエス・キリストに出会って、声楽専攻から牧師に転身。2022年よりミュンヘン日本語キリスト教会牧師。今でも少女マンガ、オペラ、ダンスは大好きです。 www.muc-japan-christ.com/



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