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Sa. 15. Aug. 2020

第33回 被用者に対する優遇税制

新型コロナウイルス感染防止措置に伴い、ドイツでも大きな経済損失が発生しています。これを緩和するため、ドイツ連邦政府は事業者に対し包括的な支援パッケージを導入しました。その中核は企業(雇用者)に対する支援措置で、事業の存続と雇用維持を目的とするものですが、一方では被用者に対する支援措置も数多く実施されています。今回はこれらの措置とそのメリットをご紹介するだけでなく、コロナ危機の間に限らず、被用者と雇用者の双方に有利な給与構成についてまとめました。

1)コロナ関連措置

①短時間労働給付金(Kurzarbeitergeld)

コロナ危機で事業が縮小し、短時間操業が導入された場合には、2020年5月から適用期間に対応した短時間労働給付金が段階的に増額されて被用者に支給されます。その前提は、労働時間が50%以下に短縮されていることです。操業短縮に対応する給与減額分を対象に、時短労働の導入後3カ月間については、従来通り子どもがいない被用者には手取り給与の60%、子どものいる被用者には同67%の手当が支給されます。4カ月目からは、支給額が同70%ないしは77%に、7カ月目からは同80%ないしは87%に増額されます。この措置は、最長で2020年12月31日まで継続されます。

短時間労働給付金は、給与に代わる手当として原則的に非課税扱いですが、累進性留保の規定が適用され、納税者(被用者)の税率が引き上げられます。さらに今年5月から、短時間操業であっても、短時間労働給付金に企業が自ら上乗せして、被用者の手取り給与全額を支払う選択が可能になりました。この場合には、増額分の社会保険料は連邦雇用庁が負担しますが、賃金税は課税されます。

②特別手当

救済措置の中で特筆すべきものは、被用者に対する特別手当が非課税になったことです。当初はコロナ関連対応で労働負担が増えた職種のみを対象とするものでしたが、これが全職種に拡大されました。雇用者は被用者に対し、2020年3月1日から12月31日までの期間、最高1500ユーロまでの現金または現物を非課税で支給できます。この際の唯一の条件は、雇用契約に即した通常給与を確保しながら、追加で特別手当が支払われることです。

2)ホームオフィスに関する課税

感染防止対策として、多くの企業がホームオフィス(テレワーク)を導入しました。自宅の仕事部屋に対する全経費、例えば家賃、管理費、機器やインターネット接続などの費用について雇用者が一定額を負担する場合には、原則的に課税対象となります。経費の払い戻しは、通常は現金支給として賃金税の課税対象となり、優遇措置はありません。唯一の例外は電話代です。3カ月の期間を例にとり、被用者の自宅での通話の一部が社用に使われたと証明できれば、雇用者はその分の平均月額を算出し、電話代の一部として非課税で被用者に払い戻せます。

このほか、仕事部屋に関しては上記に挙げた諸経費が、確定申告の際に控除対象になり得ます。特に、被用者が自宅以外に仕事をする場所がない、またはほとんどの業務をホームオフィスで行う場合には、経費を上限なく控除できます。そのほかにも、年額上限1250ユーロが必要経費として控除可能です。

3)給与構成で非課税となる項目

以下では、非課税扱いになる現物支給の例を三つご紹介します。このほかにもさまざまな可能性があります。

①オフィス機器

被用者の業務に必要なオフィス機器、たとえば携帯電話やタブレットなどが自宅で利用するために貸与される際には、非課税扱いです。業務用の機器やプログラムは、ホームオフィスではもちろん、プライベートでも非課税で使用可能です。雇用者が被用者のために契約したインターネット接続についても同様です。ただ、非課税措置は機器の「使用」だけに適用され、機器そのものは企業の所有であり、原則的には被用者にこれを贈ることはできません。

②定期券(Jobticket)

昨年から雇用者が被用者の定期券代を負担する際は非課税となりました。通勤にはもちろん、プライベートでも非課税扱いで定期券を使うことができます。

③現物支給(Sachbezüge)

雇用者が被用者に商品券、給油券などを支給する場合、月額44ユーロまでは非課税です。しかし、これを少しでも上回ると、商品券の全額に課税されます。

従業員に対する現物支給では、第三者が提供する商品券が利用されることがほとんどです。ただ、その使われ方については、直近の判例をもとに厳しく制限されています。モノやサービスを享受するための商品券は、その目的のためにだけ使われ、また商品券の利用地域もその地方に限定されます。

4)まとめ

さまざまな救済措置とは別途、雇用者が追加コストを伴わずに被用者の手取り給与を増額するため、または非課税で福利を提供するためには多くの可能性があります。必要経費の控除についても同様で、上記に挙げたものはほんの一例です。給与構成を再検討される際は、ぜひ当社にご相談ください。 (筆者:税理士ファブリス・ベーナー)

RinkeRINKE TREUHAND GmbH
リンケ・トロイハント会計税理事務所

ジャパンデスク
担当:田中
www.rinke-japan.de
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