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ドレスデン
ドレスデン音楽祭を満喫

18 Juni 2008 文・写真 福田陽子

散歩や戸外で過ごすことが気持ちよくなる5月、今年で31回目となるドレスデン音楽祭が2週間にわたって開催されました(5月9日~25日)。この音楽祭には毎年10万人を超す人々が詰めかけますが、ドレスデン生まれドレスデン育ちの指揮者ハートムート・ヘンヒェン氏が総監督に就任した2003年には15万人を記録し、ドイツ最大の音楽祭として認識されるようになりました。

ゼンパーオペラ前にはためく音楽祭の旗
ゼンパーオペラ前にはためく音楽祭の旗

都市全体が一体化する適度な規模ならではのイベントが多いドレスデンですが、この音楽祭もその一つです。会場もゼンパーオペラを筆頭に教会や城はもちろんのこと、旧タバコ工場や大学の図書館まで多岐にわたります。会場数はドレスデン市内で18カ所、マイセンやグラスヒュッテなど近郊の会場が10カ所。ジャンルの多様性も見どころで、オペラ、バレエ、室内楽、交響曲、ジャズなど約70演目を数えます。

この音楽祭を何よりも特徴づけているのは、毎年設定されるテーマですが、今年は「ユートピア」でした。約500年前にトーマス・モアが描いたユートピアをテーマに選ぶことにより、今日の社会・文化価値の再考のための一手段として音楽を提示することが狙いで、このテーマに沿って曲目が構成され、中には学術的あるいは実験的な試みとも思える選曲もありました。例えば、バッハの「フーガの技法」が3会場で、それぞれ異なる楽器で演奏され、それら3公演を1日かけてめぐる「旅」も企画されました。最終コンサートは、ベートーヴェンの「ユートピア的」なミサ・ソレムニスが聖十字架教会で行われました。

ブリュールのテラスの階段がステージに
ブリュールのテラスの階段がステージに

ゲストには世界的な演奏家も招待され、クロノス・カルテット、バイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムター、ピアニストのラドゥー・ルプーらが目玉でした。またプロだけでなく、市内の複数のコーラスグループが参加した野外コンサートも開催され、エルベ川に沿ったブリュールのテラスからアウグスト橋にかけての大階段がステージになりました。観客は大階段の下にある広場、あるいはアウグスト橋にまで広がって観賞していました。階段は上下移動の手段に過ぎませんが、華やかなステージに大変身させてしまう都市の潜在能力と、それを引き出した企画側の手腕に乾杯です。

音楽が溢れた2週間が終了し、街中で音楽祭の旗を見かけなくなると寂しいのですが、来年のテーマは何だろう?と期待させる、これこそがドレスデン音楽祭の強みではないでしょうか。


福田陽子さん 福田陽子(Yoco Fukuda-Noennig)
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と2人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/


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