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ドレスデン
ブンテ・レプブリーク・ノイシュタット

31 Juli 2009 文・写真 福田陽子

ドイツ国内の様々なお祭りやイベントの中でも、ブンテ・レプブリーク・ノイシュタット(Bunte Republik Neustadt)ほど賑やかで楽しく、そして派手で騒々しいお祭りはないでしょう。落書きや犬の糞が多く、パンクの人々が道端に座っているけれども、破天荒で活気のあるオイセレ・ノイシュタット(Äußere Neustadt)が丸ごとお祭り会場と化してしまうこのイベントが、今年は6月19日から21日まで開催されました。

このお祭りは1990年に初めて開催されました。それはちょうど、東ドイツの通貨が西ドイツの通貨に吸収される通貨統合の1週間前のことでした。ドイツ再統一に伴う資本主義への不安や疑問反対が特に強かったこの地区の住民が独自の共和国を設立し、それを祝ったのが始まりです。独自の政府を発足させ、旗や「ノイシュタット・マルク」という通貨を制定するなど、デンマークのコペンハーゲンにある独立自由都市クリスティアーナのような存在を目指したかに見えましたが、1993年に共和国は消滅してしまいました。しかしその後もこのお祭りは続き、現在ではアートやカルチャー的な色合いの濃い近隣住民の交流の場となっています。

グラフィティを背景に自前のステージで歌う人
グラフィティを背景に自前のステージで歌う人


数年前まで、このお祭りは実行委員会が運営していましたが、現在では参加希望者は事前に近隣の承諾を得た上で役所へ届け出れば、晴れて屋台を出したりパフォーマンスをしたりステージを作ったりできます。すべてが手作りなので、間に合わせだったり、未完成な感じが溢れていたりするのですが、不思議なことにそれがかえって一体感を演出するのに役立っています。屋台が多数を占めますが、子ども用のワゴンにパラソルを立てて移動しながらベーグルを売るおじさん、アクロバットを披露する少女たち、ドラムセットを自宅前に設置して演奏する女性、自前のステージを設置し、ミラーボールを吊り下げてDJをする若者など、何でもありです。

もう1つの特徴は、その大騒ぎぶりです。ドラム演奏のパレード、スピーカーを自宅の窓から外へ向けて音楽を流す人、特大スピーカーを車に積んで走り回る人など、ハチャメチャぶりを競っているようで、思わず笑ってしまいました。サッカーのフーリガンにも負けず劣らずの騒ぎがエスカレートするのは毎回のことで、夕方近くになると完全武装した警察官が巡回します。彼らに無線で指示を出す車両は数年前に襲撃されたことがあるらしく、現在ではそれと分からない普通の車で移動しているようです。

乳幼児からモヒカン頭の若者までが一堂に集うこのお祭りは、毎年6月第3週末に開催されます。

www.brn-dresden.de

煙を上げ大音響のスピーカーを積載した車。まるで紛争地域のよう
煙を上げ大音響のスピーカーを積載した車。まるで紛争地域のよう


福田陽子さん 福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と3人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/

た、ベルリンにあるハーケッシャー・ホーフはすでに観光地になっているほど有名ですが、ここドレスデンでも、ミニ開発が行われた一角にパサージュと名のつくものが増えつつあります。

その地区が持つ性格から、私が個人的に「ドレスデンのソーホー」と名付けているオイセレ・ノイシュタット(Ä ußere Neus ta dt)にあるクンストホーフパサージュ(KunsthofPassage)は1997年にオープンしました。ドレスデンで初めて明確なコンセプトを持つパサージュとして誕生しましたが、今日まで活気が失われることなく、人気No.1のパサージュとして市民に愛され続け、観光客も多く訪れています。

クンストホーフパサージュはアラウン通りとゴーリッツァー通りに挟まれており、5つのホーフ(中庭)から構成されています。建物の上階部分は住宅ですが、ホーフの小道に面してレストランやカフェ、小洒落た文房具屋やアクセサリーの店、木のおもちゃの店、アンティーク屋、本屋、バレエ・スタジオなどがあります。

このパサージュの1番の特徴はテーマごとに分かれた5つのホーフで、「色」「光」「エレメント」「変化」「動物」という具合に名前が付いています。それぞれのホーフは異なるアーティストによってデザインされ、各アーティストの腕が存分に披露されています。「動物のホーフ」では、小さな池の真ん中に鎮座する牛や壁に描かれた巨大なキリンに出迎えられます。そして、狭い通路を通り抜けるといきなり現れる真っ青な壁と、そこに取り付けられたブリキ缶のような遊び心たっぷりの雨樋には度肝を抜かれます。雨が降らないとその効果が見られないと思いきや、30分ごとに水が流れる仕掛けになっているので「雨樋を落ちる水」という普段は見過ごしがちな風景を楽しむことができます。

クンストホーフパサージュ
エレメントのホーフ。落ちる雨水を華麗に演出する雨樋


そして振り向けば黄色い壁が波打ち、その建物の通路を抜けると水色の壁に囲まれた「光のホーフ」。そしてさらに狭く蛇行する坂道を下ると、細長い「色のホーフ」が続いています。このように、何かに誘われるように歩いて行くとびっくり箱のようにめくるめくホーフが展開していきます。地道にコツコツと作ったような手作り感溢れるホーフの表情が心地良く、どのお店もチャーミングで一軒一軒のぞいてみたくなります。表通りにある、青い空を飛ぶ牛の看板が目印です。

www.kunsthof-dresden.de

クンストホーフパサージュ
光のホーフ。水色に囲まれるとふわりと浮く感覚になります


クンストホーフパサージュ
動物のホーフ。躍動感溢れる巨大なキリンや猿、鳥


福田陽子さん 福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と3人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/


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