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赤ワインの大地: アール、ヴュルテンベルク、バーデン

| 赤ワインの大地: アール、ヴュルテンベルク、バーデン |
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アール地方は、ボンやデュッセルドルフから日帰りでも行けるワイン産地として、近年脚光を浴びています。この地方でもローマ時代にぶどう栽培が始まりました。ここで現在栽培されているぶどうの90%が赤品種で、「赤ワインの楽園」と呼ばれています。アール川流域の粘板岩土壌の急斜面で育てられているのは、主にシュペートブルグンダー種(ピノ・ノワール種)とその突然変異種であるフリューブルグンダー種(ピノ・マドレーヌ種)。フリュー(早い)ブルグンダー種は、その名の通り早熟のブルグンダー種で、シュペート(遅い)ブルグンダー種、つまり晩熟のブルグンダー種より2週間ほど早く収穫することができます。原産地フランスでは、ほぼ消滅してしまい、スローフード協会が保護品種に指定しているほどで、ドイツで少しずつ増えている品種です。 アール川はライン川に向かって蛇行している小さな川で、崖の多い峡谷の急傾斜に造られたぶどう畑の景観は見事です。畑仕事の機械化は困難で、手仕事が中心。そのためワインの品質の高さと美味しさには定評があります。ぶどう畑の中を縫うように赤ワイン・ハイキング道も整備されており、赤ワイン派の方には見逃せない地域です。 ヴュルテンベルク地方もアール地方同様、赤ワインの生産量が全体の80%近くを占め、「赤ワインの故郷」と呼ばれています。ぶどう畑はネッカー川とその支流域、そしてボーデン湖のほとりに点在し、主にトロリンガー種、シュヴァルツリースリング種(ピノ・ムニエ種)、レンベルガー種が栽培されています。中でもトロリンガー種は軽やかな味わいで、日々のワインとして地元の人々に愛されています。 また、ローテンブルクに近いヴァイカースハイムからシュトゥットガルトの南に位置するメッツィンゲンまで、500キロにおよぶヴュルテンベルク・ワイン街道は、ドイツの知られざるワイン街道の1つ。作家のシラーや詩人・思想家のヘルダーリンはヴュルテンベルク産のワインを好んだと言われ、この地域にはマールバッハのシラーハウスなど、シラーゆかりの地がいくつかあります。 バーデン地方は、ドイツ最南端のワイン生産地域。バーデン・バーデンなどの保養地で有名な地域ですが、ハイデルベルクからボーデン湖までのライン川右岸沿い400キロにわたってぶどう畑が連なっています。ライン川左岸にはフランスのアルザス・ワイン街道が通っており、1日で両地域を訪れることも可能です。バーデン地方は「ブルグンダー種の産地」として知られていますが、広大な産地ゆえ、赤ワイン用ぶどうの栽培面積ではドイツ最大です。 この地方では、パワフルなグラウブルグンダー種(ピノ・グリ種)、エレガントなヴァイスブルグンダー種(ピノ・ブラン種)のほか、アール地方とは異なる力強い味わいのシュペートブルグンダー種が造られています。特に、火山岩土壌の丘陵地カイザーシュトゥールの辺りはドイツで最も暖かい地域で、世界的に評価の高い優れたシュペートブルグンダーが生まれています。
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著者プロフィール 岩本順子(いわもとじゅんこ):翻訳者、ライター。ハンブルク在住。ドイツとブラジルを往復しながら、主に両国の食生活、ワイン造り、生活習慣などを取材中。著書に「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)、「ドイツワイン、偉大なる造り手たちの肖像」(新宿書房)他。 www.junkoiwamoto.com |






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