
| 地球温暖化防止・茨の道 |
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12日間にわたる会議で193カ国の代表は、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを削減するために必要な、法的な拘束力のある合意に達することができなかった。参加国はコペンハーゲン協定という文書に「留意」、つまり英語で言うところの“take note”したにすぎない。ドイツのメルケル首相、米国のオバマ大統領、日本の鳩山首相をはじめ、全世界から4万5000人が集まったマンモス会議は、大きな注目を集めた。しかし人類は実効性を持つ合意を生むという、歴史的なチャンスを逃したのである。 なぜ会議は空振りに終わったのか。最大の理由は、先進国と発展途上国の対立である。経済発展の途中にある中国、南アフリカ、ブラジルなどの国々にとって、CO2排出量を制限されることは成長にブレーキをかけられることを意味し、国益に反する。またサウジアラビアなどの産油国にとっても、化石燃料の消費が減ることは不利である。これらの国々がグループを結成して、先進国側の提案に強く反対したことが会議を頓挫させた。発展途上国は、「これまで先進国は長年にわたって何の制限も受けずに、大量のCO2を排出してきたのだから、地球温暖化について責任を取るべきだ。その「つけ」を我々に押し付けるのは不公平だ」と主張しているわけだ。 実際、先進国は大きな負担を迫られる。彼らは、今後2年間に発展途上国に対して300億ドル(約2兆7000億円)もの緊急援助を行い、CO2排出量削減のための努力を支援する。その内訳は日本が110億ドル、EUが106億ドル、米国はわずか36億ドル。米国政府は当初100億ドルを拠出すると見られていたが、実際の額は大幅に低かった。オバマ氏は過去の大統領に比べて、気候変動対策に熱心と言われているが、実は日欧ほど本腰を入れていないことが明らかになった。 COP15に参加したドイツ連邦環境省のノルベルト・レットゲン大臣は、「様々な国家エゴ、そして米国のリーダーシップの欠如、中国の妨害のために会議は失敗に終わった」と分析する。 こうした不満足な結果にもかかわらず、EUは2020年までにCO2排出量を、1990年に比べて20%減らすという目標を維持する。メルケル首相も、「2020年までに1990年比で40%削減するというドイツの目標は変えない」と明言している。だが産業界からは、「CO2を多く排出している米国、さらに途上国が真剣に削減を行わないのに、EUだけがCO2を減らそうとすることは、EU企業の競争力に悪影響を与える」という強い懸念の声が聞かれる。 地球温暖化が進んだ際に最も深刻な被害を受けるのは、モルジブなどの小さな島国やバングラデシュなど貧しい国々の海岸近くに住んでいる人々、さらに旱魃(かんばつ)によって飢饉にさらされるアフリカの市民である。 我々は国家エゴを超越して、未来の世代のために責任を果たすことができるだろうか? 15 Januar 2010 Nr. 799 |
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著者プロフィール:熊谷徹 1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。ワシントン支局勤務中に、ベルリンの壁崩壊、米ソ首脳会談などを取材。90年からはフリージャーナリストとしてドイツ・ミュンヘン市に在住。過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題を中心に取材、執筆を続けている。著書に「ドイツの憂鬱」、「新生ドイツの挑戦」(丸善ライブラリー)、「ドイツ病に学べ」、「住まなきゃわからないドイツ」、「びっくり先進国ドイツ」(新潮社)など。 http://www.tkumagai.de/ |
昨年多くのドイツ市民をひどく落胆させたニュースの1つは、12月にデンマーク・コペンハーゲンで国連が開いた気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が不発に終わったことである。
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