【ロンドン、ケルン(ドイツ) 1月12日 時事】新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京五輪は、今夏に向けても懸念する選手の声が少なくない。フェンシング男子ドイツ代表のマックス・ハルトゥング(31)が11日までに取材に応じ、感染の拡大状況によっては参加しない可能性を示唆。「リスクが高過ぎたり、パンデミック(世界的流行)をさらに助長すると感じたりした場合は、家にとどまる」と述べた。
2014年世界選手権サーブル団体で金メダルのハルトゥングは、東京大会に出れば3度目の五輪となる。昨年は3月に延期が決まる前、コロナ禍を熟考した末に辞退を表明していた。
ハルトゥングは「大会組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)はこの1年間で多くを学んだと思う。安全で晴れやかな大会として、私も参加できることを願っている」と開催に期待を込める。しかし従来通りの開催は厳しいと指摘。選手として望む大会の姿についてこう言う。「オリンピック・ムーブメントは何よりもまず人道的であるべきで、人々や選手の健康を最優先に置いてもらいたい。満員の会場や多くの新たな出会いがあればうれしいが、その点は悲観的に考えている」
IOC委員からは、選手のワクチン接種を優先すべきだとの意見も出ている。しかしハルトゥングは、感染リスクの高い一般の市民や医療従事者を最優先すべきだと強調。「そうした方々の機会を奪わないのであれば、多くのアスリートが接種することは歓迎できる」と冷静に語った。
8 Jan 2021 1137号
特集:コロナ時代の
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