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バロック地区の長い夜

秋も深まり、朝晩の冷えこみが厳しくなった10月15日(金)の夜、夕方6時から夜11時までドレスデンのバロック地区で、13のギャラリーやミュージアムなどが参加した「ギャラリーとミュージアムの長い夜(Lange Nacht der Galerien und Museen)」が開催されました。

アウグスト橋を渡って新市街へと続くハウプト通りと日本宮殿から延びるケーニッヒ通りに囲まれた「バロック地区(Barockviertel)」は、高級ブティックやギャラリー、小さなミュージアム、カフェ、レストランが点在する落ち着いた雰囲気の一帯です。実は、この日のために特別な企画展示が催されていたわけではありません。夜遅くまで開いている、ただそれだけのことでしたが、効果は絶大でした。私は夜9時半過ぎに繰り出したのですが、いつもは静まり返っているバロック地区を多くの人々が歩き回っていました。

ドレスデン
ギャラリーやブティックが軒を連ねる
落ち着いた雰囲気のバロック地区

入口にはカンテラやキャンドル、松明が灯され、シャンパンやワインが振舞われて、大人のムードが漂っていました。これに便乗する形でブティックが遅くまで開いていたり、ショーウィンドウのライトが点灯されていたりと、夜の道が華やぎます。小さなギャラリーの場合、どうしても入るのをためらいがちですが、この夜ばかりは多くの人が出入りするのに紛れて、いつもは外から眺めているだけのギャラリーの中をすべて偵察できたことは大きな収穫でした。きっと私と同じように感じた人も多いのではないでしょうか。

このイベントの発案者はバロック地区のボス的存在として知られるシルビー・ヌットさん。彼女はこの地区で最も素敵と言っても過言ではないギャラリーのオーナーです。この地区には5つ星ホテル「ビューロウ(Bülow)」やドレスデン社交界の淑女・紳士たちのファッションを支えるブティックが建ち並ぶ一方で、いくつかのショップは新しくオープンしたショッピングモールや旧市街の中心に引っ越したり、客足が悪くなって閉店したりと、店舗の入れ替えが頻繁な上に、かなりの数の空き店舗が見られます。そのため、以前から地域の活性化に関する会合への勧誘パンフレットが近隣の住民に配られたりしていました。

このイベントも、同地区の活性化のために一役買うことが期待されています。私も近隣住民の1人ですが、各オーナーさんたちと親しく話したのは初めてのことでした。いつも見ていながら、接点のない近所のお店の数々でしたが、今後はもっと身近になりそうです。

www.barockviertel.de

ドレスデン
ワインやシャンパン片手に。
シルビー・ヌットさんのギャラリーにて

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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