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エルベ川が凍結!

昨年の大雪とは対照的に、今年は暖冬でこのまま春になるのかな、と油断していたのもつかの間、寒さは突然やってきました。2月初め、中東欧は記録的な寒波に見舞われ、国によっては非常事態宣言が発令、600人以上が亡くなったというニュースも伝えられました。ドレスデンでも最低気温がマイナス18度まで低下。数週間、氷点下の世界が続き、冷凍食品を買っても帰宅途中に解けず、夕食時にキンキンに冷えたビールが飲めるという珍しい体験をしました。

凍てつくような寒さの中、「エルベ川が凍り始めた」という噂が流れ、ついにはこの話題がザクセン新聞をはじめ、地元紙のトップニュースになりました。そこである快晴の週末(2月12日)、凍ったエルベ川を見ようと家族でソリを持って散歩に出掛けました。春の増水期と時々訪れる減水期、エルベ川の川幅は大きく変化し、それに伴って歩ける場所も移動します。今回は川幅が狭くなっていた上、さらに幅5メートルほど凍結していたため、川の中心付近まで進むことができました。その先の川は流氷のような様相です。凍結している部分はスケートリンクのようになっていて、子どもたちはすってんころりんと大はしゃぎ! 氷同士がぶつかってささくれのように盛り上がったところもあって、ドレスデン美術アカデミーの会員であり、同地で没したドイツ・ロマン主義の画家カスパー・ダヴィット・フリードリヒ(1774~1840)の作品『氷の海』を彷彿とさせました。

エルベ川
流氷と氷と雪に覆われたエルベ川

走り回る子どもたちを見ながら、注意しないと冷たい水の中へ落ちてしまうかもしれない、と私は気が張りました。フリードリヒは子どもの頃、スケートをしている最中に氷が割れて水中に落ち、彼を助けようとした弟が溺死しています。そして皮肉にも、それが彼の人生と作品に大きな影響を与えています。また、私の義母は幼少の頃に氷をぶち破って落ちた経験があることから、多くの人がスケートを楽しんでいる池にも決して足を踏み入れようとしません。氷は、美しさや神秘と表裏一体の自然の冷酷さを持ち合わせているのかもしれません。

氷上では鴨や水鳥が飛び交い、太陽の光が反射するエルベ川の姿は大変美しく、一眼レフカメラを持った人を多く見掛けました。しかしその1週間後、気温は一気に30度上昇して15度に。年間を通して日々気候が微妙に移り変わる日本と違い、2段飛びのようなドイツの気候の変化にはいつも驚かされます。

エルベ川
ところどころに出現した裂け目と水鳥たち

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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