ジャパンダイジェスト

日本食レストラン「雪都(ゆきと)」がオープン

シュトリーセン地区の閑静な住宅地の、まさに真ん中に位置する住宅の地下に、日本食レストラン「雪都」が6月3日にオープンしました。ドレスデンでもSushiという文字が町のあちこちで見られ、先日も中心部にSushi専門店がオープンするほど定着しましたが、ほとんどは日本人が作るものではありません。雪都では、修行を積んだ寿司職人によるお寿司が食べられるとあって、早速ランチを兼ねて取材に行きました。

雪都
入り口には看板、そして階段下にはのれん

地下への階段を下り、のれんをくぐると、出迎えてくれたのはご主人の佐藤寿一さん。北海道札幌市出身ということで、雪の都にちなんでお店の名前を付けたのだそうです。高校生の頃からお寿司屋さんでアルバイトを始め、この世界に入りました。皿洗いから始まり、シャリ作り、そして巻き物を作りながら横目で先輩の職人がお寿司を握る姿を盗み見る、という修行を積んできました。店長が高齢のために店を畳んだ後、佐藤さんはスーパーマーケットの中の魚屋さんに勤務し、魚について勉強するチャンスを得ました。

「あの頃、結構フラフラしていたんですよ」と振り返る佐藤さんですが、そのスーパーマーケットの警備員さんに「ドイツに行け!」と大きなお世話を焼かれてしまったことが大きな転機となりました。勧められるまま、フランクフルトの日本食品店の求人広告に勢いで応募。即採用となって2006年10月から3年間フランクフルトで働きました。警備員さんにドイツ行きを決められてしまった佐藤さんは、その後もドイツを転々とし、2009年にはボーフム、2010年からは2年契約でハンブルクの回転寿司店に勤務しました。ドレスデンの日本食レストラン「小倉」のご主人の息子さんとはフランクフルト時代に偶然知り合い、そのご縁で、2012年から「小倉」に勤務。その後いくつかのお店に勤務した後、独立して自分のお店を持つに至りました。

店内の壁には、デコボコとした味のあるルスティカ仕上げの大きな切り石が積み上げられ、むしろイタリア料理やギリシャ料理店の趣がありますが、この内装とお寿司が意外にもマッチすることは新たな発見でした。お寿司とお刺身を中心に、メニュー数は多くありませんが、フジヤマゲイシャ的な和食やSushiに食傷気味になっている日本人には救世主的存在。お寿司に舌鼓を打っていると、お寿司ランチパックの注文の電話が入り、ドイツ人家族が取りに来ました。また、私の隣ではドイツ人女性が一人で食事をしていました。来客の7~8割は日本人とのことですが、最近は近所に住む日本人以外の住民も来店するようになったとのこと。ドレスデンに住む人にとって大切なお店の一つに育っていくことを願っています。

雪都
ご主人の佐藤さんと、満面の笑みのお客さん

Japanisches Bistro Yukito 雪都
Behrischstr.29,01277 Dresden
Tel:0176-66348240

www.facebook.com/bistroyukito

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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