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リニューアルした文化宮殿に中央図書館がオープン

文字どおりドレスデンの中心に位置している文化宮殿(Kulturpalast)は、2013年10月から防火対策設備工事が始まって以来、長らく閉鎖されていました。ここはドレスデン・フィルハーモニーの本拠地であったため、工事期間中はフォルクスワーゲンのガラスの工場やアルベルティヌム美術館、聖母教会での演奏を余儀なくされましたが、晴れて2017年4月28日にリニューアルオープンしました。それと同時に、既存の主図書館と音楽図書館と青年図書館medien@ageが合体して中央図書館となり、文化宮殿内に入ることになりました。人間のスケールを超越することに意義を見出すような、これぞ東独建築といえる文化宮殿は、建築家ヴォルフガング・ヘンシュ(Wolfgang Hänsch)の設計によるもの。そして今回の改築プロジェクトの設計コンペを勝ち取ったのは、ベルリン中央駅を手がけたハンブルグを本拠地とする建築事務所、gmpことゲルカン・マーク&パートナー(Gerkan, Marg und Partner)です。

文化宮殿
アルトマルクト広場の向かいに立つ文化宮殿の外観

オープン直後、早速、子供達を連れて図書館に行きました。床面積5463㎡に500もの利用者席があり、そのうち50席でインターネットの利用が可能です。大きなガラスのファサードを生かし、利用者席はすべて窓際に配置されています。前を見ればアルトマルクトを一望でき、後ろを振り返れば聖母教会がそびえているという絶景。椅子は郊外の田園都市ヘレラウにあるドイツ工房ヘレラウ製、そして子供の図書コーナーのソファは2010年創立のクロアチアの家具メーカーProsteria社製で、老舗と若いメーカーを上手に組み合わせて全体として落ち着いた調和にまとめることに成功しています。書架とテーブル、照明器具や壁はすべて白ですが、アースカラーの家具を組み合わせることで居心地の良さがもたらされています。

図書館の中で一番力が入っているのは子供の図書コーナー。その幼児書コーナーは階段状のステージと書架が一体となっていて、大きなワニがシンボルです。子供達が好きな姿勢や場所で本を読めるようにさまざまな椅子やテーブルが配置されていて、なんとプレイステーションのゲームが楽しめるコーナーまでありますが、もちろん子供達の間では争奪戦です。こんなに居心地よく本と一緒にいられることに幸せを感じられる空間が誕生したことを祝福したい気分になりました。図書館長のアレンド・フレミング博士が「ドレスデンの繁栄のため、この中央図書館はアイデンティティーをもたらす開かれた場所になるべき」と述べているとおり、図書館の存在は人々や町にとって中心的なシンボルになり得ることを実感します。紀元前300 年に建てられたアレクサンドリアの図書館や16世紀前半のフィレンツェのラウレンツィアーナの図書館……知の繁栄の中心にはいつも図書館があったことを改めて思う、そんな気持ちになれました。

サウンドチェアSonic Chair
アルトマルクト広場を見下ろす絶好の場所に並ぶサウンドチェアSonic Chair

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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