Hanacell

外国人の憩いの場 インターナショナル・カフェ

ドイツの中でも、ハンブルクは特に移民の多い街です。小学生に限ると、クラスの中の外国人および移民の背景を持つ生徒の割合が約50%に達しているというから驚きです。日本人の場合は、企業から派遣されて来た駐在員やその家族だったり、留学生だったりと、確固たる目的を持ってドイツに滞在している方が多いと思いますが、移民の中には祖国に問題があり、国外移住を余儀なくされてドイツに渡って来た人々もいます。彼らの多くは外国人局に移住申請をした後、何年もの間、職や生活の基盤もなければ、友人知人もいない不安定な日々を過ごしています。

店内
明るい店内。右のドアの向こうではドイツ語コースが行われています

ハンブルクには、そのような人たちを支援している、キリスト教会を母体としたインターナショナル・カフェ「Why not?」があります。ウェブサイトによると、このカフェの目的は「国籍、肌の色、宗教を問わず、誰でも歓迎され、アットホームにくつろげる場所」を提供すること。コーヒー、紅茶は1ユーロと、とても良心的な値段で、何も注文せずに、ただここへ来ておしゃべりするだけでも良いそうです。移民のドイツでの生活を支援するため、ドイツ語コースも安価で提供しています。お店の方に聞いたところ、日本人の方も受講されているとのことでした。

「インターナショナル」というだけあって、ここでは世界各国のゲストを招いてのコンサートや催しも頻繁に行われます。先日は日本から茶道の先生を迎えてお茶の会が開かれ、私も参加してきました。着物を着た日本人女性が目の前でお抹茶をたて、作法の説明をしながらカフェのお客さんに無料でふるまっていました。お茶の作法の中には、千利休がキリストの教えを取り入れて考案したものもあるという話には、大変興味を引かれました。

この時、お抹茶を試したアフリカ人のお客さんが感動して、「緑のお茶のお礼に」と即興で「グリーングリーン」を歌っていました。このような自由さも、きっと「Why not?」の持ち味なのでしょう。通常であれば突拍子もないと思われるようなことでも、この場所でなら受け入れられるところに、懐の深さを感じました。

お茶会の様子
カフェの中で開かれたお茶会

カフェでは外国人がドイツ社会に適応するための手助けとして無料の法律相談も受け付けているほか、今年はイランやアフガニスタンからの未成年女性の亡命者援助プログラムを実施し、ハンブルク市から表彰されたそうです。このカフェの店員さんは全員ボランティアだそうで、私も外国人の1人として、このような憩いの場があることをありがたく思いました。

Marktstr. 55, 20357 Hamburg
www.why-not.org

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
 
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