Hanacell

「New Hamburg」フェッデル地域活性化のために

フェッデル(Veddel)……ハンブルクの南側、エルベ川の中州にあるこの地区の港から、かつて多くの人が自由を求めて米国へと旅立って行きました。また時を同じくして、多くの移民がこの港にたどり着き、この地に生活の基盤を築きました。彼らは、そのままフェッデル地区に住み続け、現在では、住民5000人のうち80%が外国人だといいます。しかも、2~3世代に渡って同じ場所に住んでいるため、隣近所は全員親戚か知り合いか、という状況だそうです。人の入れ替わりがないので、新しい風が吹くことがなく、中央駅から電車で2駅、ほんの5分ほどしか離れていないのに、街は忘れ去られたようにひっそりとしています。

かつては、この地域の人々の交流の中心だったインマヌエル教会も信者が減り、ついに、牧師の派遣も中止されてしまいました。最後の牧師が去るとき、女性執事と共に「教会が地域に貢献できるように」と願い、教会堂を演劇や音楽演奏会、映画上映などの催し物のために解放することを決めました。そして、教会とハンブルク・ドイツ劇場(Deutsches Schauspielhaus Hamburg)が協力し、地域活性化プロジェクト「New Hamburg」を立ち上げました。「New Hamburg」は、「様々な国の人々が居住し、すでに多様な文化が存在しているこの地域で、どのようにお互いの違いを認め合い、協力し合うことができるのか。『将来のドイツの姿』を模索するために、ここから情報を発信していくことが可能なのではないか」と考え、2014年秋、インマヌエル教会を中心として3週間に渡るフェスティバルを開催、好評を博しました。地域の住民は、自分たちの居住区で様々な催し物が行われたことを大変喜んだといいます。

ハンブルク
インマヌエル教会でワークショップ

これを1回限りの打ち上げ花火に終わらせないよう、その後も定期的にコンサートやワークショップなどが開催されています。そして、今年6月4日~7日、「New Hamburg-ウィークエンド」と題して、再びフェスティバルが行われるというので、私も足を運んでみました。観客参加型の劇やダンス・ワークショップ、フォト・シューティングなど、ドイツ劇場が協力しているからこその興味深い催し物がある一方、政治や宗教に関するディスカッションの時間もあり、フェッデル地区をより良い形で活性化していきたいという、主催者の願いを感じました。このプロジェクトが外国人、ドイツ人という垣根を越えて、「共にこの地に生活する隣人」として、対話を生んでいくことを願います。

ハンブルク
フォトシューティングで舞妓さんに

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?

 
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