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子どものための定期コンサート「Zwergen-Abo」が10周年

小さい子どもに本物の交響楽団の良さを知ってもらおうと、北ドイツ放送交響楽団(NDR)は毎年、「子どものための定期コンサート(Zwergen-Abo)」を開催しています。秋から翌年春にかけて全4回のコースで行われ、3~6歳児を対象としています。このほど10周年を迎え、ますます人気が高まっています。

今年度のテーマは「お祭り」でした。各回では、収穫祭、クリスマス、カーニバル、誕生日をそれぞれ題材とし、金管楽器、弦楽器、打楽器などの楽器がグループごとに登場しました。参加する子どもたちは舞台の上に敷いた座布団に座り、楽器を間近に感じることができます。また、各楽器の名称や音域についての説明もあり、それぞれの楽器の特長がよく分かります。

ハノーファー
「収穫祭」を題材にしたコースでは弦楽器が登場

演奏するのは現役で活躍する超一流の楽団員。有名な曲を披露すると、付き添いの保護者からも歓声が上がります。演奏はドラマ形式になっており、ユーモアたっぷりの演出で、子どもたちが大笑いする場面もしばしば。参加型の催しで、子どもたちも歌ったり踊ったりと飽きることがありません。コースが開催される前に自宅に資料が送られてくるので、何の楽器が登場するのか、前もって確認できます。塗り絵や工作道具も入っており、それらも忘れずに準備していきます。

最終回は「誕生日」のテーマにちなみ、コンサートの開催10周年をお祝いしました。事前に送られてきたケーキの塗り絵に色を塗り、子どもたちは手作りの紙の花を持参しました。地元の子ども合唱団も歌声を披露し、喝采を浴びていました。

ハノーファー
「誕生日」では、舞台に飾り付けをしてお祝いしました

このような定期コンサートは、開始当時、ドイツで初めての試みとなるものでした。幼稚園児が対象とあって、子どもたちは落ち着かずにざわざわするのではと思いましたが、そんなことはなく、ほとんどの子どもは熱心に聴き入っていました。各コースは1時間ですが、テンポが良くあっという間に時間が経ちます。普段、小さい子どもをオーケストラホールへ連れて行くのは難しく、本物の音楽に触れる機会がなかなかないという人にとっては最高のイベントです。これをきっかけに、音楽の道に進む子どもも出てくるかもしれません。

コンサートは大変人気のため、毎回抽選となります。私は2年連続で選に漏れましたが、3年目にしてやっと席が取れました。11回目となる今秋開始のコースはすでに申し込みが始まっており、締め切りは7月6日。子ども1人につき、保護者2人まで付き添えるので、家族で楽しむことができます。興味のある方は、申し込まれてみてはいかがでしょうか。

公式サイト(ドイツ語)
www.ndr.de/orchester_chor/radiophilharmonie

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 
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