Hanacell

100年前のキールを訪ねて

「今、州立図書館で面白い展示をやっているから行ってみたら?」と友人に教えてもらい、先月、ドイツではまだ行ったことのなかった図書館に初めて出掛けてきました。

展覧会のテーマは「100年前のキール」。その日は日曜日だったこともあり、会場内は若者から年配の人まで大勢の人で賑わっていました。数百点もの白黒写真や地図などが展示されており、人々が「これは現在○○がある所だ」とか「昔はこうだったのだなぁ」などと語らいながら食い入るように展示品を眺めているのが印象的でした。それもそのはず、当時、軍港や軍艦造船所があったキールは、第2次世界大戦末期に街の大部分が爆撃によって破壊されてしまったため、古い建造物があまり残っておらず、過去の街の様子を知るには写真くらいしか手掛かりがないのです。

この展示会では、田園風景の広がっていた人口2万人弱の小さな街が1860~1920年のわずか50年の間に、人口20万人以上を抱える近代的な都市に急速に発展していった様子を、写真や地図を通して知ることができます。たとえば、キール湾の東側にずらりと並ぶ造船所やキール運河建設の写真は、それらが街発展の大きなきっかけになったことを物語っています。また、現在は道路によって2つに分かれている“Kleiner Kiel”と呼ばれている湖が、1886年までは1つだったこと、すでに100年前に街中を路面電車が走っていたこと(ちなみに現在、路面電車はありません)、そして現在は建物の一部しか残っていない城館(Schloss)が当時は広い庭園を持つ立派なものだったことなどが分かり、知らなかったキールの一面を見て新鮮な驚きを覚えました。

今からちょうど100年前の1910年、キール市役所の塔建設の様子
今からちょうど100年前の1910年、キール市役所の塔建設の様子

各広場や通りは今も昔もだいたい同じ位置にあったようですが、戦後ほとんどの建物が建て直されたり新たな道が造られたりしているので、写真に映る昔の街の様子は、今とはずいぶん違って見えました。戦後、できるだけ早急に街を復興させる必要があったため、当時の街並みを再現することはできなかったそうです。それでも、「昔もここにカールシュタットがあったんだなぁ」などと、自分が知っているキールの現在と昔の姿を比べながら写真を見て回るのはとても興味深い体験でした。

“Kiel vor 100 Jahren”は、5月2日(日)までSchleswig-Holsteinische Landesbibliothek(Sartori & Berger-Speicher Wall 47-51)で開催されています。入場料:大人1ユーロ(ガイド付き+1ユーロ)

100年前のキールを訪ねて
ガイドさんの説明に聞き入る人々

ゼルヒャウ・ハンゼン美穂
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。
 
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