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祝! キール市庁舎100周年

去る11月12日、キールではある“人”ならぬ“もの”の、100歳の誕生日が盛大に祝われました。今から100年前のこの日に誕生したものとは、キール市庁舎のこと。19世紀後半、裕福な軍港として栄え始め、人口も急増しつつあったキールにとって、新しい市庁舎の建設は急務でした。こうして1907年に着工し、11年に完成したのが現在のキール市庁舎。「水の都ヴェネツィア」にちなんで、「フィヨルドのヴェネツィア」としてヴェネツィアのサン・マルコ鐘楼を模した塔が一際目を惹く建物です。その塔の時計台からは、ロンドンのウエストミンスター寺院のビッグ・ベンとよく似た鐘の音が、100年の時を経て流れ続けています。ちなみにこのメロディーは、キールっ子の間では「キールにはお金がない。それは世界中が知っている(Kiel hat kein Geld. Das weiss die Welt)♪」と歌われ、親しまれています。

遠くからでも塔の姿でそれと分かる市庁舎遠くからでも塔の姿でそれと分かる市庁舎

さて、市庁舎が100歳を迎えた12日はオープンデーとして各部屋が開放され、市長室や議事場をはじめ、普段足を踏み入れる機会のない市庁舎内部を見学することができました。各部署の業務に関する展示やコンサート、ガイドツアー、子ども向けのプログラムなど、終日様々な催しが行われました。

開会式では、100年前さながらに皇帝ヴィルヘルム2世と皇后、当時の市長に扮した人々が大広間に登場してスピーチを行い、金色の記帳に署名するシーンが再現されていました。面白いことに、皇帝は「皇帝の扉」と呼ばれる専用の扉から市長室に入ったそうですが、この扉が使われたのは2回きり、つまり100年前のこの式典で皇帝が出入りした時だけで、その後皇帝の扉は壁で隠されてしまいました。市庁舎の正面玄関から3階に上がると市長室があり、そのすぐ脇に初代ドイツ大統領の肖像画が飾られています。そこが、皇帝の扉があったところ。私も見てみましたが、そうと言われなければ全く分からないような普通の壁があるだけでした。

100年前の皇帝ヴィルヘルム2世と皇后の来訪を再現100年前の皇帝ヴィルヘルム2世と皇后の来訪を再現
(Kieler Nachrichten 14.11.2011より)

また、内部だけでなく外の市庁舎広場(Rathausplatz)でも消防隊が建物の屋根からロープを使って救助デモンストレーションを行うなど、様々なプログラムが披露され、観客を楽しませていました。100周年記念の祝祭は終了しましたが、今年12月30日まで市庁舎2階の廊下で、その歴史についてのパネル展示が行われていますので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

ゼルヒャウ・ハンゼン美穂
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。3年間、キールとその近郊についてレポートさせていただきましたが、今回で私のレポートは終了になります。今までお読みいただいてありがとうございました。
 
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