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フォトマラソン in シュトゥットガルト

世界的に有名な写真のイベント「フォトマラソン」が今年5月、初めてシュトゥットガルトで開催されました。マラソンとは言え、陸上競技とは何の関係もありません。これは、約100人のプロやアマチュアのフォトグラファーが、6時間のうちに12のテーマで写真作品の制作を行うという、かなりハードな写真コンテスト。参加者は、12枚の写真しか提出できません。つまり、1つのテーマにつき制作すべき写真作品は1点のみ。さらに、テーマの順番も決まっています。集中力と精神力の限界に挑戦するという点においては、確かにマラソン競技とよく似ていますね。

展示会場内の大勢の鑑賞者
大勢の鑑賞者が訪れた展示会場

今回の12のテーマを順に挙げると、①「これが私の背番号」②「あっ、絡まってる」③「バカンス中」④「全然いけてない」⑤「シンメトリー」⑥「お金では買えないもの」⑦「典型的なシュトゥットガルト」⑧「これがアート?!」⑨「“顔“がない……」⑩「スパイシー」⑪「これが白と黒」⑫「これが私」。各テーマは、指定の時間に所定の場所に行って受け取り、製作に掛かります。カメラはデジタル機器なら何でもOK。中には、スマートフォンで撮っていた人もいました。

5月31日、授賞式の会場に足を運んでみると、今回参加した94人のフォトグラファーの写真がそれぞれテーマ順に並べられていました。面白いことに、横方向に見ていくと各作家の12枚の作品が並び、縦方向に見ると同じテーマの作品となります。小さいフォーマットの写真でしたが、展示会場の3面の壁をぎっしりと埋め尽くしていました。その数はなんと合計1128枚! 微笑ましい一瞬を捉えたものや、ユーモアたっぷりの作品が多く見受けられました。

作品を観覧する女性
横方向に各作家の12点の作品が並び、縦方向はテーマごとに分かれている

「お金では買えないもの」のテーマには、子どもの安らかな寝顔や、今年の初夏にはのどから手が出るほど欲しかった一瞬の青空などの写真が並び、「典型的なシュトゥットガルト」「全然いけてない」のテーマには、散々世を騒がせたシュトゥットガルト21計画を揶揄するものが多く見られました。

グランプリに輝いたのは、カルステン・リードルさん。彼は12点の作品すべてに、巧みに1本の赤い糸をモチーフとして入れることで統一感を演出し、さらに横一列に並べると糸がつながっているように見えるという手法を取り入れていました。ドイツ語で赤い糸(Ein roter Faden)とは「物語の筋」という意味を持つことから、言葉遊びも秀逸でした。10位までの作品は、以下のウェブサイトよりご覧いただけます。

www.fotomarathon-stuttgart.de

郭 映南
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
http://kakueinan.wordpress.com
 
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