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Sa. 21. Apr. 2018

ドクターの診察室
ドクターの診察室: 健康に関する悩み・質問にDr. 馬場が答えます!

食道の病気

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この夏頃から毎朝のように胸焼けがあるのですが、胃が悪いのか、それとも食道の病気なのかが気になります。胃食道逆流症という病名を聞いたこともあります。食道の病気について、詳しく教えてください。

Point
• 胸焼けは胃液の逆流症状の1つです。
• 慢性の咳など、食道外の症状が見られることも。
• 肥満や脂肪の多い食事も誘因となります。
• 治療には胃酸分泌を抑える薬を用います。
• ピロリ菌治療の後は、胸焼け症状が増すことも。
• 胸焼けは食道カンジダでも発症します。

食道とは

● 胃への輸送管です
食道(Speiseröhre, Ösophagus)は、口と胃を結ぶ消化管です。食道のぜんどう運動と食道腺からの粘液によって、咀嚼された食べ物はスムーズに胃へと送られます。食道粘膜は、皮ふと同じ扁平上皮細胞からできています。

● 逆流しないわけ
横隔膜の食道裂孔(Speiseröhrenschlitz)を介して、食道と胃は繋がっています。食道下部の括約筋の働きによって、食道は食物や水分が通るときだけ開き、それ以外は閉じていて、胃液(Magensaft)や胃内部の食物の逆流を防いでいます。

胃食道逆流症とは

胃液が食道内に逆流することによって生じる、食道粘膜の障害です。食道は酸(胃酸)に強くないため、簡単に傷付きます。胃食道逆流症(GERD)は、肉眼で粘膜に炎症性変化が見られる「逆流性食道炎」(Refluxösophagitis)と、変化が認められない「非びらん性胃食道逆流症」(NERD)に分けられます。

● 症状が起こる頻度
胸焼け(Sodbrennen)のある人の60〜70%に、胃食道逆流症が見られます。特に50歳以降の人に多く見られ、米国ではその割合は5〜10人に1人と言われています。日本でも1990年以降、増加傾向にあります。

● 原因
1.食道と胃の境の筋肉(下部食道括約筋)の収縮機能の低下や、食道裂孔ヘルニアなどによって食道と胃の境が開きっ放しになる。2.胃酸の分泌が増え、ゲップと共に食道内に漏れ出てしまう。3.食道が酸の刺激に敏感になっている、などが考えられます。

図1. 胃食道逆流症の原因
図1. 胃食道逆流症の原因

● 具体的な症状
胸焼け、胸の痛み、口の中に酸味があるなど、食道との直接的な症状と、慢性の咳、のどの違和感、かすれ声など、食道以外の部分に見られる症状があります。朝起きがけの咳が長期間にわたって続くときは、胃食道逆流症も考えられます。

図2. 胃食道逆流症の症状
図2. 胃食道逆流症の症状

● リスク因子
 1.太り過ぎ、妊娠、コルセットなどで腹圧が上がり、胃が上方に圧迫される。2.過食や早食いでゲップが出やすい。3.夜遅くに食事を摂った後すぐの就寝。これらは胃液が逆流しやすい状況を作ります。また、4.高脂肪食や過食は胃酸の分泌を増やします。

表1. 胃食道逆流症のリスク因子
肥満、妊娠、コルセット
肉類、脂肪分の多い食事
早食い、過食によるゲップ
食道裂孔ヘルニア
就寝前の食事
食道下部括約筋に影響する薬

● 食道裂孔ヘルニア
胃の一部が横隔膜にある食道裂孔を越えて、上方に突出した状態(図1参照)。腹圧の高い肥満者、妊婦、さらに食道裂孔の締まりが悪くなった高齢者にも見られることがあります。

● ピロリ菌との関係
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)はアンモニアを産生し、胃液の酸を中和して生息します。そのため、ピロリ菌の除菌後には胃液の酸度が増して、胃食道逆流現象が起きやすくなるとも言われています。

● 薬と胃食道逆流症
血圧の薬であるカルシウム拮抗剤のように、食道の括約筋の働きに影響する薬、鎮痛薬のように胃酸の分泌を増やす薬によって、胃食道逆流症が引き起こされることもあります。

● 治療法
胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬、H2受容体拮抗薬)が用いられます。大きな食道裂孔ヘルニアには、外科的治療も検討されます。

その他の食道の炎症

● カンジダ性食道炎(食道カンジダ)
カンジダという真菌(カビ類)による食道粘膜の感染症で、体の抵抗力が低下したときや、長期のステロイド療法で免疫が低下したときに見られます。食道の内腔が白く覆われて見え、抗真菌薬によって治療を行います。

● 薬の食道停滞による潰瘍
例えば、ミノマイシンという種類の抗生物質は、食道内にとどまってしまうと薬剤が溶け出して食道の炎症を起こしたり、食道潰瘍を生じることがあります。このような薬は、就寝直前の服用を避け、服用時には十分な水を摂取しましょう。

食道がん

食道のがんは、扁平上皮がんと、バレット食道が原因の腺がんとに分けられます。日本では扁平上皮がんが90%以上を占めるのに対し、欧米では腺がんが50%以上の確率で発症しています。食道がんによる日本での年間死亡者数は約1万人で、胃がん患者の約5分の1です。40歳代後半に増え始め、女性より男性に多く見られます(男女比約5:1)。

● 症状
初期症状はないことが多く、がんが少し大きくなると食道の内腔が狭くなり、固形の食物がつかえるようになります。また、食道がしみる感じ、声のかすれ、胸や背中の痛みを伴うこともあります。

表2. 食道がんの症状
初期は無症状
胸の痛み、背中の痛み
食道がしみる感じ
かすれ声
食物がつかえる

● タバコとの関係
食道がんはタバコとアルコールがリスク因子として知られています。予防法としては、禁煙が一番です。

● バレット食道(Barrett-Ösophagus)
胃食道逆流によって、食道下部の粘膜が扁平上皮細胞から円柱上皮細胞に置き換えられた状態で、バレット上皮とも呼ばれます。食道の腺がんの素地になると考えられています。

食道に見られるほかの病気

● 食道憩室
食道の壁の一部がポケットのように外側に飛び出した状態です。大きな憩室は、食べた物がポケットに引っ掛かってつかえたり、中で腐敗して口臭を放つこともあります。小さな憩室であれば、経過観察とすることが多いようです。

● アカラジア(Achalasie)
聞き慣れない病名ですが、食道の代表的な機能障害の1つです。食道下部の括約筋が上手く開かなかったり、食道のぜんどう運動の障害によって、食べた物が胃に下がらず食道内に溜まります。症状は、食後の胸のつかえた感じ、嘔吐、ゲップ、背中の痛みなどです。

● 食道静脈瘤(Ösophagusvarizen)
肝硬変(Leberzirrhose)は、門脈の内圧が高くなり、食道の粘膜下にできた側副血行路が膨れたものです。食道静脈瘤の破裂は、患者の生命を左右する危険性があります。


 
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馬場恒春 内科医師、医学博士、元福島医大助教授。 ザビーネ夫人がノイゲバウア馬場内科クリニックを開設 (Oststraße 51, Tel. 0152-05412673)、著者は同分院 (Prinzenallee 19) で診療。

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