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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978 年東京生まれ。看護師を経て、旅するビアジャーナリストに転身。旅とビールを組み合わせた「旅ール」(タビール)をライフワークに、世界各国の醸造所や酒場を旅する。ドイツビールにほれこみ1 年半ドイツで生活したことも。「ビール王国」(ワイン王国)、「ビールの図鑑」(マイナビ)、「BRUTUS」(マガジンハウス)など、さまざまなメディアで活躍中。
www.jbja.jp/archives/author/kogo

ロマンティックな廃墟から修道院までお散歩ビール

ハイデルベルクは、ドイツ南西部バーデン=ヴュルテンベルク州に位置する古都だ。赤い屋根が並ぶ旧市街、ゆったりと流れるネッカー川、そして山の中腹には街のシンボルであるハイデルベルク城。この城は13世紀に建てられ、ドイツの三大名城の一つにも数えられている。広大かつ壮麗な古城なのだが、三十年戦争やプファルツ継承戦争で破壊され、所々が崩れたままの姿だ。だがその佇まいが「ロマンティックな廃墟」としてゲーテやショパンなどの作家や芸術家らに愛され、今も多くの観光客を魅了している。城内地下の直径7メートル、高さ8.5メートルの世界最大級のワイン大樽など見どころも満載だ。

この街の郊外にある醸造所が、クロスターホフ醸造所だ。街からバスと徒歩で20分ほどだが、旧市街から川沿いの遊歩道や、「哲学者の道」をのんびりと散歩しながら向かうのも気持ちがいい。醸造所があるのは、ネッカー川沿いの斜面にある1130年に創建されたスティフトノイブルク修道院の敷地内。かつて家畜小屋があった場所を改装し、2009年から醸造所として使用している。この修道院では農業や畜産、果実酒などの生産が行われていた歴史があるが、ビール造りは今回が初めて。創業以来、ホップと麦芽は認証された有機農法のものを使い、醸造に要する水は修道院敷地内の泉から採取するなど、地元の自然資源を活かしたビール造りを行っている。

同敷地内にはレストラン「GasthofZum Klostergarten」があり、素朴な郷土料理と出来立てのビールを楽しむことができる。テラス席は、開放感たっぷり。のどかな風景を眺めながら、ビールと共にゆったりとした時間を過ごそう。

「Dunkles」を口に含むと、キャラメルのような甘いロースト香の奥からドライイチジクのようなフルーティさが顔を出す。味わい深いが軽やかな飲み心地は、秋の散歩にぴったりな一杯だ。

www.brauerei-zum-klosterhof.de

vol.106
Dunkles

Dunkles

 
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