カールスベルクは名前を変えて国境を越える
ドイツ南西部、ザールラント州にあるホンブルク。フランスとの国境にも近く、歴史と自然がバランス良く混在している。
まず外せないのが、欧州最大級の赤色砂岩の洞窟群として知られるシュロスベルガーホーレン。18世紀に採石場として掘られたものだが、現在は幻想的な地下空間として公開されている。柔らかな赤い岩肌が広がる空間は、まるで別世界のよう。その洞窟の上に広がるのがシュロスベルク。かつての城塞跡が残る丘で、ザールラントの緑豊かな風景が一望できる展望スポットだ。

この街に拠点を構える醸造所が、1878年創業のカールスベルク醸造(Karlsberg Brauerei)。国内でも有数の規模を持ちながら、今も家族経営を守っている。
名前を聞いて、デンマークの「カールスバーグ」(Carlsberg)を思い浮かべる人も少なくないだろう。よく似た名前ゆえに混同されがちだが、両者はまったく別の企業。1950年代に、カールスベルク社の隣国フランスでの売り上げが伸びるにつれ、デンマークとの名称争いが表面化。そこでカールスベルク社が輸出時にビール名を「カールスブロイ」(Karlsbräu)にするという柔軟な方法で対応した。結果として、この名前はフランスを中心に国外に広く浸透し、もう一つの顔として定着している。
ビール造りにおいては、ピルスナーやヘレスといった伝統的なスタイルを大切にしながら、フルーツビールや低アルコール飲料といった新しい提案にも積極的。さらに近年は清涼飲料ブランドの買収も進め、飲料メーカーとしての幅を広げている。
「Kellerbier」は無ろ過のラガービールで、残存する酵母のうま味とホップのハーバルな苦みが好バランス。はつらつとしたホップの余韻に包まれる。ビアガーデンがオープンするこれからの季節、明るい日差しの中でいつまでも飲んでいたくなるビールだ。
vol.113
Kellerbier
スタイル:ケラー
原材料:大麦麦芽、ホップ
アルコール度数:5.2%

| 醸造所名 | Karlsberg Brauerei GmbH(カールスベルク醸造所) |
| 創業年 | 1878年 |
| 住所 | Karlsbergstr. 62, 66424 Homburg |
| その他のラインナップ | UrPils、Export、Rosé 、Natur Radler、Brauermalz、Helles Natur Weizen |
| URL | https://karlsberg.de/ ●通販不可 |



インベスト・イン・ババリア
スケッチブック

コウゴ アヤコ
東京生まれ。看護師をへて、旅するビアジャーナリストに転身。旅とビールを組み合わせた「旅ール」(タビール)をライフワークに、世界各国の醸造所や酒場を旅する。ドイツビールに惚れ込み1年半ドイツで生活したことも。『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『BRUTUS』(マガジンハウス)など、さまざまなメディアで活躍中。






