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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 東京生まれ。看護師をへて、旅するビアジャーナリストに転身。旅とビールを組み合わせた「旅ール」(タビール)をライフワークに、世界各国の醸造所や酒場を旅する。ドイツビールに惚れ込み1年半ドイツで生活したことも。『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『BRUTUS』(マガジンハウス)など、さまざまなメディアで活躍中。
www.jbja.jp/archives/author/kogo

ビールと天文時計はロストックの歴史を語る

ドイツ北東部、バルト海に面した港街ロストック。中世にはハンザ同盟の中核都市として繁栄し、遠隔地貿易で栄えた街だ。戦後の東西分断期には東ドイツ最大の港湾都市として機能し、現在も港湾や観光の中心地として発展している。

ビールと天文時計はロストックの歴史を語る

街を歩けば、レンガゴシック建築が連なる重厚な景観が目に入る。その中心に立つ聖マリエン教会に足を踏み入れると、ひときわ目を引くのが1472年製の天文時計だ。当時の姿をほぼそのままに、今なお動き続ける希少な存在である。電力に頼らない手巻きぜんまい式で、時間だけでなく、季節や星座、月の満ち欠けまでも示す精巧な仕組みを備え、宇宙のリズムを静かに映し出している。日本は室町時代に当たる15世紀にこうした精緻な機構が生み出され、受け継がれてきたことは、ただ驚くばかりだ。

そんな歴史を持つロストックでは、13世紀半ばにはすでに商業的なビール醸造が行われ、最盛期には20軒ほどの醸造所が軒を連ねていたという。ビールは港を経てスカンジナビアへと運ばれ、この街の名と共に広がっていった。

この土地のビール文化を今に伝えるのが、「Mahn & Ohlerich Bier」だ。1878年、ゲオルク・マーンとフリードリヒ・オーレリッヒによって創業されたこのブランドは、ロストックの大手醸造所のルーツでもある。戦後の混乱のなかで一度はその名を消したが、2011 年に創業者へのオマージュとして、「当時の面影」を感じさせる一杯が復活・醸造されている。香りの高いアロマホップのみを使用しているため、ホップの苦みはマイルド。ホップが華やかかつスパイシーに香り、麦芽の甘みや穀物感を引き立てている。

140年以上前のロストック市民も、天文時計が刻む規則的なリズムに耳を傾け、この味を楽しんだのだろうか。想像を膨らませてくれるビールだ。

vol.114
Mahn & Ohlerich Bier

スタイル:ピルスナー
原材料:大麦麦芽、ホップ
アルコール度数:4.9%

Mahn & Ohlerich Bier

醸造所名 Hanseatische Brauerei Rostock GmbH(ハンザティッシェ醸造所ロストック)
創業年 1878年
住所 Doberaner Str. 27, 18057 Rostock
その他のラインナップ Pils、Export、Bock Hell、Zwickel、Naturtrüb、Radler Naturtrüb
URL www.rostocker.de
●通販不可
 
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