ラベルを深掘り!ウインクする修道士の故郷を訪ねて

かわいいビールラベルを見つけ、思わず「ジャケ買い」をした。ジョッキを片手に笑みを浮かべ、こちらにウインクを送る修道士。その頭上には天使の輪が描かれている。この印象的なキャラクターは、ビールの都バンベルクからバスで40分ほどの小さな村メンヒスアムバッハ(Mönchsambach)にあるツェーンドナー醸造所のロゴだ。創業は1808年。現在のツェーンドナー家による経営は1938年から続いている。
ラベルデザインを手がけたのは、ニュルンベルクのマンガ家兼イラストレーターのゲルト・バウアー。同醸造所の友人でもある彼が、このビールにふさわしいマスコットとして生み出したという。禁欲的な宗教者というよりも、長年ビール文化を支えてきた陽気な守り人のような表情が印象的だ。天使の輪にも、「ありがたいくらいにうまいビール」という遊び心が感じられる。
そもそも村名であるMönchsambachは、「修道士たちの小川のほとり(の村)」という意味を持つ。中世、この地域はシトー会系のエーブラハ修道院の影響下にあり、修道士たちが土地を管理していた。ドイツでは古くから修道院でビール造りが行われ、巡礼者や村人に提供するなかでその技術を発展させてきた。村の名に残る「修道士」という言葉は、この土地とビール文化の深い結び付きを今に伝えている。
もちろん現在は、修道士が醸造しているわけではない。しかしツェーンドナー醸造所は、昔ながらのビール文化を色濃く残すブルワリーとして、地元のみならずビールファンからも親しまれている。併設のガストホフでは、自家製パンやソーセージをつまみながら、出来立てのビールをゆっくり楽しめる。
「Hefeweizen」は、ハーブやバナナを思わせる香りに、柔らかな酸味が重なる。華やかさがありながらどこか素朴で、旅の疲れを癒やしてくれるような優しい味わいだ。
vol.115
Mönchsambacher Hefeweizen
スタイル:ヴァイツェン
原材料:小麦麦芽、大麦麦芽、ホップ
アルコール度数:5.5%

| 醸造所名 | Brauerei Zehendner GmbH(ツェーンドナー醸造所) |
| 創業年 | 1808年 |
| 住所 | Mönchsambach 18, 96138 Burgebrach |
| その他のラインナップ | Export、Lagerbier、Maibock、Weihnachts-Bock |
| URL | https://moenchsambacher.de ●通販不可 |



インベスト・イン・ババリア
スケッチブック

コウゴ アヤコ
東京生まれ。看護師をへて、旅するビアジャーナリストに転身。旅とビールを組み合わせた「旅ール」(タビール)をライフワークに、世界各国の醸造所や酒場を旅する。ドイツビールに惚れ込み1年半ドイツで生活したことも。『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『BRUTUS』(マガジンハウス)など、さまざまなメディアで活躍中。




