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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

ビール醸造の近代化を牽引した醸造所のお祭りビール

10月と言えば、1810年から続く世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」。今年もミュンヘンで9月16日から10月3日まで開催された。毎年42ヘクタール(東京ドーム9個分)の広い敷地内に巨大テントが並び、初日と2日目にはビール樽を積み込んだ馬車と共にパレードが行われる。テロや銃乱射事件の影響で近年は来場者が減少傾向だが、世界中から600万人もの観光客が押し寄せミュンヘンの街は大賑わいだ。祭りに行きそびれてしまった方も、ボトルでならまだ祭りのために造られた特別なビールを味わうことができる。

このビールはメルツェン(オクトーバーフェストビール)と呼ばれている。冷蔵技術が未発達であった時代、醸造シーズン最後の3月に仕込まれるビールはメルツェン(3月)ビールと呼ばれ、腐敗を防ぐため麦汁濃度を上げ少し高めのアルコール度数で特に丁寧に造られていた。メルツェンは夏の間に飲まれ次の醸造シーズンを迎えるオクトーバーフェストで飲みきる習慣があった。

このメルツェンの品質向上とビール醸造の近代化に貢献した人物が、シュパーテン醸造所のガブリエル・ゼートルマイル2世だ。芳醇な香りに仕上がるウィーン麦芽で造られたメルツェンは祭りで人気となり、多くの醸造所の手本になった。また、彼は発明されたばかりのアンモニア式冷凍機を世界で初めてビール造りに応用し、一年を通して低温熟成の下面発酵ビールを造る技術を確立したことで知られている。

シュパーテン醸造所に敬意を払い、オクトーバーフェスト初日にはミュンヘン市長が同醸造所の樽に飲み口を打ち込み開会宣言をしている。

麦芽の香ばしさと後から湧き上がってくるホップのフラワリーな香り。祭りではマースと呼ばれる1リットルジョッキで提供される。口当たりが良く、あっという間に飲みきってしまうビールだ。

vol. 10
Spaten Oktoberfestbier

spatenbraeu.de

Julius Echter Hefeweißbier

 
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