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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

アイスなのに体がポカポカ、アイスボック

ケルハイムはドナウ川に面し、クルーズ旅の起点になる人口1万6000 人ほどの小さな町。丘の上にはドイツがナポレオンの支配から解放されたことを記念して建てられた解放記念堂(Befreiungshalle)が見える。船上からも楽しむなら夏期に訪れたい町である。しかし今回ご紹介するのは冬にぴったりの高アルコールビール「アイスボック(Eisbock)」だ。

アイスといっても氷を入れたビールに非ず。水分はエキス分よりも早く凍結することを利用し、ビールの水分を冷却タンクで凍らせて取り除くことでアルコール度数と味わいを凝縮させた特別なビールだ。起源は南ドイツのクルムバッハといわれている。寒い冬の晩にビール職人の弟子が、ビールが入った樽を屋外に出しっぱなしにして凍らせてしまったが、捨てるのも忍びないので氷を取り除いて飲んでみたところ、美味しいビールになっていた、と伝えられている。

「Aventinus Eisbock」はアルコール度数12%。小麦を使ったアイスボックだ。8.2%のドッペルボック「Mein Aventinus-TAP6」を凝縮させている。シュナイダー醸造所は1872年の創業以来、小麦を使ったビール、ヴァイツェンを専門に造り続けている。創業当時はミュンヘンの中心部に醸造所を構えていたが、第二次世界大戦が終戦した1945 年に、現在のケルハイムに醸造所を移した。ミュンヘンの醸造所跡には直営レストラン「Weißes Brauhaus」があり、建物の美しさと美味しいヴァイツェンが飲める店として、観光客にもよく知られている。

赤ワインや干しイチジク、プルーンを連想させるフルーティーで芳醇な香り。濃厚で複雑な味わいながら、ヴァイツェンらしいシャープさも感じられる。高アルコールが喉を滑り落ちていく温かさがじんわり心地良い。雪の夜にじっくりと味わって飲みたいビールだ。

vol. 13
Aventinus Eisbock

https://schneider-weisse.de

Aventinus Eisbock

 
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