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マイン川でドラゴンボート大会

新緑映えるある週末、マイン川周辺に太鼓の音が鳴り響きました。「ドンドン」という懐かしさを感じさせる音とともに聞こえてきたのは、人々の歓声。5月15~17日の3日間、フランクフルトでは「ドラゴンボート・フェスティバル」が行われたのです。

ドラゴンボートとは、カラフルに彩られたボートに乗ってスピードを競う水上競技のこと。ボート競技というとレガッタ種目を想像する方が多いと思いますが、これとは漕ぎ方が逆で、漕ぎ手が向いている方向に船が進みます。18~20名の漕ぎ手と太鼓手(ドラマー)、舵取りが細長いボートに乗り、船を動かします。太鼓手は船首で後ろ向きに座って太鼓を打ち鳴らし、漕ぎ手はこの音に合わせて一斉にパドルを動かすというわけです。

ドラゴンボート
太鼓の音に合わせて、一心不乱にパドルを動かします

どのような顔ぶれがこの競技に参加するのかと思い、見に行ってみると、ボート漕ぎを生業としているのかと見紛うほどの肉体の持ち主が集まるマッチョ・チームから、まだ幼さが残る中学生チーム、かつて腕を鳴らしたであろうお年寄りチーム、極めつけは「今日初めて全員で水の上に出ます!」といった風貌の素人チームまで実にさまざま。このとき行われていたレースが「Fan-CUP」という、趣味で参加するチームが多いレースだったせいかもしれません。

川岸をうろうろしていると突如、中国風の音楽がスピーカーから流れてきました。川では5組ほどの船が出揃い、いよいよレースのスタートです。隣からは「お母さん、行けー!」と子どもの声援、反対隣からは、ビール片手に冷やかし半分で友達を応援する若者の声。なんとも地域に密着したイベントだなと思いほのぼのとしつつも、真剣なレースについつい見入ってしまいました。この日は朝から夕方までレースが行われ、その後には野外ライブが続き、マイン川は1日中ドラゴンボート一色に染まっていました。

さて、この競技の起源は古代中国で国の将来を憂いたある政治家が入水自殺を図った際に、漁民たちが太鼓を鳴らしながら探したことに由来しているそうです。当初は伝統的なイベントとしてアジア各地に広まっていきましたが、30年ほど前からスポーツ競技として認められるようになり、世界各地で競技大会が行われるようになりました。現在、世界のドラゴンボートの競技人口は1000万人とも言われ、今後はオリンピック正式種目入りも目指しているようです。折しもこの日、東京でもドラゴンボートの大会が行われていたそうです。遠く離れた場所で、同じ日に同じ太鼓の音がこだましていたのですね。

ドラゴンボート
船の先端には竜の頭が。ちゃんと髭もあります

石野 あやか(いしの あやか)
ドイツW杯の折に渡独。初めてのドイツ、初めてのヨーロッパの地がフランクフルトでした。昼間から堂々とビールを飲める素敵な文化に魅せられて、1年間の滞在予定が、気がついてみれば3年目突入。こうなったら、次のW杯もドイツで観戦だっ!
 
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