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古き良き街並みの再現を目指して

年明けの新聞で、マイン川に架かるAlte Brückeの再建設の予定があるという記事を読みました。「そうなると“Alte Brücke”ではなく、“Neue Alte Brücke”になるのかなぁ?」などと考えながら読み進めると、現在の橋はすでに2代目とのこと。すると今度出来る橋は、“Neue neue alte Brücke”に!?

この橋が初めてマイン川に架かったのは中世初期と言われています。川の氾濫や戦争などにより、幾度となく破損や崩壊に見舞われ、修復を繰り返し、元々木造だった橋が石造りになったのが13世紀後半。19世紀半ばまではマイン川をまたぐ唯一の交通路として、ザクセンハウゼンと旧市街地を結ぶ重要な役割を果たしていました。当時の橋の両入り口には、古い橋によく見られるように、守衛用の高い塔が立ち、夜には塔の下の門が閉まって橋を渡れないようになっていたそうです。この塔たしたこともあったとか。今の橋の姿からは想像もつかない話ですね。

現在のAlte Brücke
現在のAlte Brücke

その後20世紀に入り、修復を繰り返してきた橋の耐久性を疑問視する地元住民の声を受けて橋の新設計画が進められ、1926年に新しい橋(実際にNeue Alte Brückeとも呼ばれています)が建てられました。この際、橋のアーチが広く高くなったため、大型の船でも通航が可能となり、また多くの車が橋の上を通過できる頑丈な構造になりました。第2次世界大戦での被爆による修復などはあったものの、この形が今に至るまで続いています。

今回の再建では、橋幅を広げて車線を増やすほか、多くの船が同時に通航可能になる造りが求められています。それと同時に、約100年前の橋の姿をモチーフとした構想が練られていて、橋の機能性はもちろん、外観も重視したプロジェクトが進められるようです。また、橋のたもとにある小さな島(Maininsel)にも手が加えられるそうです。かつてここには漁師小屋や水車小屋が建っていました。今回の計画ではここにレストランや橋の博物館、展望台などを備えた建物が建てられる予定です。

レーマー広場から大聖堂に広がる一帯の再建も、今年から始まりました。戦前の姿の再現を目標とした、新しい旧市街を作り出す試みです。こちらは2013年の完成を目指して、徐々に工事が始まっています。地上168階建ての超近代建築(ドバイのブルジュ・ハリファ)が話題を呼ぶ一方で、古き良き時代の姿を取り戻そうというプロジェクトに力を入れるフランクフルト。街の歴史を大切にしたいという住民の気持ちが現れている気がします。

大聖堂前の一体も新しく生まれ変わります
大聖堂前の一体も新しく生まれ変わります

石野 あやか(いしの あやか)
ドイツW杯の折に渡独。初めてのドイツ、初めてのヨーロッパの地がフランクフルトでした。昼間から堂々とビールを飲める素敵な文化に魅せられて、1年間の滞在予定が、気がついてみれば3年目突入。こうなったら、次のW杯もドイツで観戦だっ!
 
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