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アップルワイン電車「Ebbelwei-Express」

週末に街中をぶらぶらしていると時折巡り会うポップでレトロなチンチン電車「Ebbelwei-Express」。フランクフルト名物のアップルワインを片手に市内の観光スポットを周ることができる、楽しい観光電車です。動物園に隣接するZoo駅を出発して、旧市街、レーマー広場、メッセ、マイン川を渡り、ザクセンハウゼンを通ってZoo駅に戻るルートを約1時間かけてのんびりと走ります。土・日・祝日のみの運行ですが、4月からは本数が増えて1日8本となっています。ちなみにEbbelweiとは、ヘッセンの方言でApfelweinのこと。旧車両を利用した電車から醸し出される昔懐かしい雰囲気と、車内で振舞われるアップルワインが名所旧跡巡りを盛り上げます。

赤い車体が目印のEbbelwei-Express
赤い車体が目印のEbbelwei-Express

この電車の誕生は1977年。トラムが徐々に新型車両に交換されていく中、最後に残った旧式トラム車両の引退を記念して造られた特別電車がきっかけでした。本来は短期間の運行で終わる予定でしたが、予想外の反響の多さに観光電車としてその後も長く活躍することになったようです。

実は、これをさかのぼること約50年前にも、「Linie0」と呼ばれる市内周遊電車が走っていたそうです。当時も車内でアップルワインやおつまみ、さらにはHaddekucheと呼ばれるフランクフルト特有のレープクーヘンを提供したり、コスチュームを着た車掌さんが蓄音機でヘッセン州の民謡を流したりと、現在のEbbelwei-Expressの原型となるようなサービスが行われていました。

さて、ここで出てくるアップルワインですが、フランクフルト名物と言いつつも、最近では「お金のない人が飲む飲み物」という認識が広まりつつあるのが現状です。確かに比較的安価で手に入りますし、フランスのアップルワイン(シードル)と味を比べると残念ながらその差は歴然。しかし、この飲み物がフランクフルトに定着した17世紀当時は、マイン地域でもかなり優れたワインとして取り扱われていたようです。また19世紀半ば、ヨーロッパ全域にブドウの害虫被害が広がった際には、ワインの代用品としてこのアップルワインが大活躍しました。

今でも市内には、当時の雰囲気そのままに手絞りのアップルワインを飲ませてくれる居酒屋があります。目印は、お店の入り口にぶら下がっているトウヒの葉っぱで作ったリングとベンベルと呼ばれるアップルワイン専用ポット。ただし、すべてが本物の手絞りのワインとは限らないのでご注意を。

手絞りのアップルワインが味わえるお店の目印はこれ
手絞りのアップルワインが味わえるお店の目印はこれ

石野 あやか(いしの あやか)
ドイツW杯の折に渡独。初めてのドイツ、初めてのヨーロッパの地がフランクフルトでした。昼間から堂々とビールを飲める素敵な文化に魅せられて、1年間の滞在予定が、気がついてみれば3年目突入。こうなったら、次のW杯もドイツで観戦だっ!
 
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