Hanacell

地ビールを楽しもう! ヘミンゲンビール工房

ハノーファーの隣町にあるヘミンゲンビール工房(Hemminger Biermanufaktur)。30年来の友人同士というイェンス・クマーフェルトさんとヴォルフ・ハチェさんの二人が2018年に起業した、ビール醸造所です。

創業者のイェンスさんはもともと商業関連の仕事をしていましたが、50歳の時に一念発起して、ライプニッツ・ハノーファー大学で化学の勉強を始めました。そのときに博士課程の学生がビールの研究をしているのを見て、興味を持ったといいます。「自分の手を動かして仕事をしたい。職人になりたい」と、卒業後に54歳でビール醸造所を設立。大学で学んだ知識がビール造りに生かされています。

ドイツのビール純粋令に基づき、同醸造所ではホップ、麦芽、酵母、水のみを原料としたクラフトビールを製造しています。「ヘミンゲンヘレス」と呼ばれるピルスナーと、「ヘミンゲンデュンクレス」と呼ばれるダークラガービールの2種類を造っています。

左から、大瓶ビール、ヘレス、デュンクレス左から、大瓶ビール、ヘレス、デュンクレス

イェンスさんは「実はヘミンゲンの水はビールに最適というわけではない。けれど、昔は各地で地元の水を使ってビールを造り、それが当地の味として親しまれていた」と語ります。そのため地域性を大事にし、フィルターでこさず、熱処理しない昔ながらの方法を踏襲しているのだとか。私も飲んでみましたが、大量生産のビールのようにスマートで完璧という感じではなく、手作り感のある懐かしい味でした。ヘミンゲンデュンクレスも飲みごたえがあり、くせになりそうです。ハノーファー近隣の一部のエデカでも、瓶ビールを購入できます。

コロナ禍の前は、ヘミンゲンビール工房は誕生日会や会社のパーティーなど催し会場としても親しまれ、ビールとともに地元料理を提供していました。母校ライプニッツ・ハノーファー大学でのお祭りの際に、「ライプニッツ・ビール」を提供して人気を博したこともあるそうです。 しかし、今はコロナ禍のためお休み。パーティー用の大瓶ビールも、需要が減りました。

最近はやっとコロナ禍が落ち着き、ビールの売り上げも回復しつつあります。木曜日の9~13時と金曜日の16~19時には、工房でのビール提供も再開しました。出来立てのビールを味わいたい人は、ふらりと訪れることができます。また予約制の工房ツアー(15ユーロ、ビール試飲付き)とビール醸造体験(85ユーロ)も好評を得ています。

イェンスさん(左)とヴォルフさん(右)イェンスさん(左)とヴォルフさん(右)

ヘミンゲンビール工房は、ビールを製造するだけでなく、工房を解放して、製造方法やコンセプトを伝えることでファンを増やしています。これも小さな地ビール工房ならでは。今日も、精魂込めてビールを造っています。

ヘミンゲンビール工房:www.hemmingerbiermanufaktur.de

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。ジャーナリスト、法廷通訳・翻訳士。著書に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』、共著に『お手本の国」のウソ』(新潮新書)、『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)など。
 
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