Hanacell

小さな村の国際美術展 「NordArt 2025」にて

ハンブルク市から北へ約100キロ、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州の小さな街ビュ-デルスドルフで、今年も国際美術展「NordArt」が開催されています。毎年夏から秋にかけて開かれるこの展覧会は、欧州をはじめ、世界中から約3000件の応募の中から選ばれた200人のア-ティストの作品が展示されます。今年の会期は、6月6日(金)~10月5日(日)です。

会場は、カールスヒュッテという歴史的な古い鉄鋳物工場で、全面積2万平方メートル、屋外には8万平方メートルの公園があり、多くの彫刻やオブジェが展示されています。主催者であるKunstwerkCarlshütteは、水技術企業のACO グル-プがレンズブルク市およびビュ-デルスドルフ市と共同で運営する非営利の芸術・文化団体であり、展覧会やコンサ-トなどの文化イベントのために場所を提供しています。

多くの人でにぎわうオープニングセレモニー多くの人でにぎわうオープニングセレモニー

そんな「NordArt」ではメインの公募展以外にも、毎年新しいコンセプトによる企画展がいくつか開催されています。今年の特別企画のテ-マの一つは「日本」。日本人と日本人以外ア-ティストを含め39人の作品を集めた「DO / dat_code」展では、さまざまな視点からの日本が表現されています。ほかにも中国、ポ-ランド、モンゴル、チリのア-ティストによる特別展示もありました。

私たちが訪れたのは、一般公開の前日の開会式。実は、亡き父の作品が展示されることになり、父の代わりに出席することになったのです。開会式では、ビューデルスドルフ市長や、関係者のスピ-チ、昨年度のア-ティストの中から選ばれた4名の特別賞授与式などが行われました。在ハンブルク日本国総領事も登壇されていました。

宙に浮く巨大なオブジェ宙に浮く巨大なオブジェ

その日は大雨だったこともあり、工場のトタン屋根に落ちるすさまじい雨音で、残念ながらスピ-チがほとんど聞き取れませんでした。しかし、そういうハプニングもこの展覧会らしい感じがしました。あらゆる国の異文化が現代芸術になだれ込んだスペクタクルショーのようでもあり、それぞれの作品が会場の特異な空間とコラボしてパフォーマンスをしているようでもあり。じっくり一つひとつの作品の鑑賞に集中するのは難しいけれど、このダイナミックな空間に身を置くのも興味深い体験かもしれないと思いました。

岡本信治郎作「雪月花合戦(赤組白組)」 (撮影:Samuel 倫太郎 Hopf)岡本信治郎作「雪月花合戦(赤組白組)」 (撮影:Samuel 倫太郎 Hopf)

父の作品が展示されている「DO / dat_code」展は、会場の一角にあり、ほかの作品群に比べてひっそりと静かな感じが対照的ですが、独自の存在感を放っていました。久しぶりに出会った父の作品は、ちょっと周りになじめず、はにかみながら佇んでいました。

NordArt2025: www.nordart.de

岡本 黄子 おかもと きこ
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。

 
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