子育ては修行のようなもの……子どもがまだ小さかった頃、そんなふうに感じていた私が偶然出会ったのが「EKiZ」(Eltern-Kind-Zentrum)でした。ここはシュトゥットガルトのヴェスト地区にあり、赤ちゃんからお年寄りまであらゆる世代が集い、共に時間を過ごす場所です。こんな場所をもっと早く知りたかった! と、当時の私はすっかり夢中になりました。今回は、そんな子育て世帯にうれしい施設、EKiZの魅力をお伝えします。
ある日のランチ。ナスを使った料理でした
ここでは、曜日ごとにさまざまな子ども向けのプログラムが開催されています。スポーツや工作、歌の時間、0〜1歳児の親子が対象のベビーカフェなど、対象年齢も内容もバラエティに富んでいて、予約なしで参加することができます。プログラムに参加せずに、中庭で遊んだり、室内の子ども部屋でのんびり過ごしたりする人も多くいます。公園とはまた違う安心感があり、子どもが自由に遊ぶ姿を見ながら、椅子に座ってホッとひと息つけるのがうれしいのです。あまりに居心地が良すぎて、子どもが小さかった頃は「私、この建物に住んでるのかしら?」と思うほど、毎日のように通っていました。子どもが大きくなった今でも、この思い出深い場所を訪れることがよくあります。
先日も、友人とランチタイムにEkiZへ行きました。EKiZのカフェでは、オーガニックのベジタリアンランチが楽しめます。季節の野菜を使ったメイン料理と共にクスクスやブルグア、ポレンタなど、日本ではあまりなじみのない食材を使った料理が多く登場します。多国籍のスタッフが作る料理はバラエティ豊かで、毎回新しい味との出会いがあるのも楽しみの一つです。ほかにもスープやサラダがあり、見た目も美しく栄養たっぷりで、心も体も満たされます。スタッフの話によると、近く日本料理週間が開催される予定で、「味噌を使った野菜料理」が登場するそう。どんなメニューが出てくるのか、今からとっても楽しみです。テラス席で食事をしていると、近くのテーブルにほかの子連れファミリーが集まり、自然と会話が生まれます。
EKiZからもほど近いフォイアーゼー湖畔の教会
EKiZでは、日本人の親子が集まる子ども会も定期的に開催されていて、童謡を歌ったり、季節行事にまつわる工作をしたりしています。思いがけないご近所のお友だちができたり、同じようなライフステージの仲間に出会ったりするチャンスになりますね。子どもを通じて出会ったご縁は、ドイツでの暮らしにおいて大きな支えになると思います。
「ヴェスト地区=若者が多くておしゃれなエリア」という印象を持つ方もいますが、実は子育て世代にも優しいエリア。天気の良い日には、フォイアーゼーの湖畔の教会を眺めながら、EKiZを訪れてみてください。子育て中の人だけでなく、子育てを卒業した人にとっても、きっと心地良い時間が待っています。
EKiZ:www.eltern-kind-zentrum.de
おんせん県出身。ドイツ人の夫と二人の子どもと日独いいとこどりの暮らし。 昼間はリロケーションサポートのお仕事。趣味は夜な夜な糀作り。とある村の朝の風景をインスタグラムで発信中。
Instagram:@takako_miyabi_deutschland