JAL
Sa. 13. Aug. 2022

ウクライナから来た二人と僕たちの家族の3カ月

ロシア軍のウクライナ侵攻開始からしばらくして、わが家ではウクライナから避難してきた女性二人を受け入れることになりました。今回は、彼女たちとの約3カ月間の共同生活についてつづりたいと思います。

まず、ウクライナから避難する人々をサポートする人たちとSNSを通じて知り合い、避難民の方たちの受け入れ先を探していると聞きました。そして連絡を取り合った数日後には、スーツケースを抱えたLさんとNさんがうちにやってきました。二人は避難中に知り合い、お互い女性一人では不安なので、一緒に行動することにしたそうです。

子どもたちと一緒に料理を作りました子どもたちと一緒に料理を作りました

ありがたいことに近所の人たちが家具や衣類などを提供してくれましたが、ほかに足りないものは二人と一緒にそろえていきました。中でもベッドをもらいに行き、うちでLさんと一緒に組み立てた時間が心に残っています。下着など自分で購入したいもののために、お金を寄付してくれた方もいました。ドイツへの転入や言語コースの手続きなどに関しては、ロシア語の堪能な方が熱心にサポートしてくれます。またイースターの焚き火やゴミ拾いなどの地域活動に一緒に参加しながら、二人は少しずつこの街に慣れていきました。

言葉が通じないもどかしさはお互いにありましたが、ドイツ語、日本語、英語、ウクライナ語、ロシア語が飛び交う食卓は新鮮でした。身振り手振りを多用しながら、込み入った内容の時は自動翻訳機能も使います。食べ物はどんなものが喜ばれるかとドキドキしていましたが、意外にも餃子とたこ焼きが好評でした。

Nさんは美容師で、散髪道具もドイツに持参していたため、家族の髪の毛を切ってもらうことに。さらに友人たちに声をかけたら、30人くらいがうちにやって来て、お風呂場が臨時美容室になりました。コミュニケーションがうまく取れず、うちの娘はバッサリ前髪を切られてショックを受けていましたが(笑)、多くの方が喜ぶ姿を見て、手に職がある強さを感じました。

ウクライナ語で「ようこそ」ウクライナ語で「ようこそ」

ウクライナからの避難民に対して、ドイツ鉄道は運賃を、通信会社は通信料を無料にしています。その恩恵を受けてドイツ各地に出かけたり、自国に残した家族や友人とやりとりしたりする二人を見て、そういうサービスを迅速に提供するドイツ社会に感心しました。

今回二人を受け入れたことで、多くのことを学ばせてもらいました。特に良かったのは、子どもたちが彼女たちの存在を通じて戦争のことを身近に感じ、社会への関心を深めたこと。そこから毎晩子どもたちと一緒に、子ども向けのニュース番組を見ています。

彼女たちがうちに来てから3カ月、Lさんはアパートを自分で見つけ、ドイツで一人暮らしを始めました。Nさんは、自国に残してきた息子のことが心配でウクライナへ戻っていきました。彼女たちそれぞれの人生に、それぞれの選択があります。いつかまた、どこかで二人に会えることを心から願っています。

国本隆史(くにもと・たかし)
神戸のコミュニティメディアで働いた後、2012年ドイツへ移住。現在ブラウンシュバイクで、ドキュメンタリーを中心に映像制作。作品に「ヒバクシャとボクの旅」「なぜ僕がドイツ語を学ぶのか」など。三児の父。
takashikunimoto.net
 
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