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オペラハウスで「復活祭ダンスデー」

4月12日から21日まで、ハノーファー国立オペラハウス(Staatsoper Hannover)にて、今年で11回目となる「復活祭ダンスデー」が開催されました。4つの作品が上演されたほか、子どもバレエのワークショップも開かれ、イベントの期間中はハノーファーの町全体がダンス一色に染まりました。

私はこのイベントで、バレエの『いばら姫』を鑑賞しました。有名なグリム童話で、ある国王夫妻が催した王女誕生の祝宴の席で、招待されなかった魔女によって、「王女は、錘が刺さって死ぬだろう」と呪いが掛けられます。成長して錘に刺された王女は100年の眠りに落ち、やって来た王子によって目覚めるというお話です。

今回の作品は、ハノーファーのバレエ団とオーケストラによって上演されました。踊りや舞台装置はモダンでありながら、伝統的な美しさを残していました。赤い衣装を着た15人のダンサーが召使いとなり、バラのいばらとなって踊ります。良い魔女は6人。赤や桃色、緑など、カラフルなチュチュ(バレリーナの衣装)を着ています。悪い魔女の衣装は黒で、王女は初々しく、求婚する10人の王子たちの出で立ちはたくましく、表情豊か。バレエでありながら、演劇的な要素も多々あり、作品に入り込めました。また、オーケストラはチャイコフスキーのバレエ音楽を迫力たっぷりに奏でていました。

バレエ『いばら姫』
力強いダンスが見もののバレエ『いばら姫』

復活祭ダンスデーではこのほか、キューバやデュッセルドルフなどのカンパニーの作品が上演され、特に初演となったバレエ『チャップリン』には人気が集まっていました。ダンスに関する展示会も好評で、子どもダンスワークショップでは、子どもたちが専門家にダンスを習い、オペラハウスの舞台でその成果を披露しました。

市内中心部にあるオペラハウスは、もともと王宮劇場として19世紀半ばに建設されました。第2次世界大戦の空襲で焼け落ちましたが、戦後、昔のスタイルのまま再建されました。高い天井からは豪華なシャンデリアが吊るされ、建物の上階からは正面のテラスに出ることができます。座席数は1200席。オペラやバレエ、コンサートの上演に使われ、SchauspielhausやBallhofなどの劇場と同様、現在は州の管轄となっています。

国立オペラハウス
壮麗な外観の国立オペラハウス

インターネットでチケットを購入できるほか、平日の昼間はオペラハウスの窓口でも手に入ります。ちなみに『いばら姫』のチケットは、席によって18.50~44ユーロ。学生やシルバー割引もあります。手頃な値段で質の高い作品が楽しめるのも、芸術の国ドイツならでは。お得な定期チケットもあり、市民に親しまれています。

www.staatstheater-hannover.de

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、ドイツ語通訳。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。

 
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