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体験すること、考えること科学博物館フェーノ

北ドイツにあるヴォルフスブルクに、体験型の科学博物館フェーノがあることをご存知でしょうか。ヴォルフスブルクはフォルクスワーゲン(VW)の本社がある街として有名ですが、フェーノはあまり知られていないようです。フェーノという名称は「フェノミン(現象)の世界」を意味する造語で、数学、物理、化学、電気など様々な現象を分かりやすく展示し、自分で実験したり触ったりできるようになっています。

ヴォルフスブルクはハノーファーから80kmほど、急行列車で約30分のところに位置します。戦前にVWの工場を建てる場所として選ばれて発展した街です。人口13万人足らずですが、フェーノやVWによる車のテーマパーク「アウトシュタット」など、楽しみながら知識を得られる施設が充実しています。

フェーノは中央駅前にある宇宙船のような不思議な建物です。中に入ると広々としており、350以上の自然科学の現象を体験することがでます。ここでは自分で触ること、考えることを重視。電気はどうやって生まれるのだろう、モノレールはどうやって進むのかなど、世の中の仕組みの答えが見つかる場所です。例えば、金属の列車の模型はマイナス195度の液体窒素で冷やすと、線路に触れることなく磁力で浮き上がって進みます。ほかにも玉が転がる複雑な立体迷路、空気で浮き上がる風船、炎のショーなど盛りだくさん。手を動かしてみて、初めて分かることがあります。このような実験が、定期的に行われ、大人も子どもも興味津々です。課外授業の一環として訪れる生徒たちはもちろん、大人だけのグループも見かけました。

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磁気浮上式鉄道のしくみを実演

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立体迷路に玉を転がす

2018年2月11日まで、人間の体をテーマにした特別展示「マノメーター!(Manometer!)」が開かれており、心臓や目、筋肉など人体の仕組みの神秘に迫ります。体の各部位の大きさや、心臓の動きを測ってみたり、自分の影で遊んでみたりするなど、30の仕掛けが用意されています。

館内には食堂があり、焼き立てのピザは5.50ユーロで、一流レストラン並みのおいしさ。子ども用パスタは3.50ユーロとお得です。屋外にあるカフェでは、VWのオリジナルソーセージを楽しめます。

通常は自分で好きなところを見て回るのですが、館内で誕生日会をするコースや、案内付きのコースもあります。子どものグループ用の案内付きコースは、昼食付きで一人12ユーロ。60歳以上の年配者向けグループのコースは、1時間の案内の後は自由に見学し、休憩時間にケーキとコーヒーが出て12.50ユーロです。年配者向けのコースもなかなか人気と聞き、学術好きなドイツらしいと思いました。

私は昼過ぎに入ったため、全部見ないうちに時間切れ。今度は朝一番に来て、1日中粘るぞ、と思っています。子どもからお年寄りまで、1日中楽しめます。

科学博物館フェーノ: www.phaeno.de

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 
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