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「Made in Germany Drei」でドイツ生まれのアートを堪能

ドイツに住む芸術家によるアート展「メイド・イン・ジャーマニー3」が、9月3日までハノーファーで開催中です。今年は2007年、2012年に次ぐ3度目の開催で、市内3カ所のミュージアムでは絵画やオブジェ、インスタレーション、フィルムなど個性的な作品が披露されています。5年に一度開かれる、世界的に有名なカッセルの芸術祭「ドクメンタ」と同年に開かれ、このアート展を楽しみにしている市民もたくさんいます。

今回のテーマは「空間」「時間」「製作構造」の3つで、ドイツ人だけなくドイツに住む外国人アーティストも含め32人が参加。シュプレンゲルミュージアムでの開会式には300人以上が訪れ、スポンサーや学芸員の話に耳を傾けました。「芸術という、言葉で表せないものを表現すること」と話す学芸員の言葉に、芸術の一端を理解した気がしました。 何を持って芸術とするかは人それぞれ。仕事机と椅子を天井からぶら下げたり、大きなパイプが音を出したりと、見る側はなんと反応すべきか悩む作品も……。例えばヨーロッパの最北端と最南端から運んで来た石を展示したものは、空間を表しているように感じられますし、放射能を浴びた物体はその危険性が長く存続することによる時間を体現しているのかもしれません。製作構造は芸術作品のプロセスに関わるものを表現しており、パフォーマンスやショーになります。皆それぞれに思いをめぐらせながら鑑賞しているようでした。

ヨーロッパの最北端と最南端
ヨーロッパの最北端と最南端の石

また今回初めて、演劇祭「フェスティバル・テアターフォルメン」やハノーファー劇場と協力し、演劇や音楽の要素も取り入れました。絵画や彫刻など静止したものだけでなく、演劇という生の動きを取り入れたのは新鮮でした。特にイタリアのダンスグループによる「シルフィダリウム(Sylphidarium)」は印象的で、妖精が出てくるバレエ「ラ・シルフィード」を元にしているそうですが、アレンジがすごい!独特の激しい動きと突飛な衣装で、観客を圧倒。芸術は好きでなければできないものだと、つくづく感じました。そのほかにも1年間集めたごみを一つひとつ床に並べてビジュアル化する「オブリビオン(Oblivion)」は、ベルギー人女性一人によるパフォーマンスで、ごみを並べるだけで2時間半もかかることにびっくり。ごみについて語るシーンもあり、その内容からはごみはその人の生き様を表すのだなと感じました。

>音が出るパイプ
音が出るパイプ

「フェスティバル・テアターフォルメン」は6月18日で終了しましたが、本アート展は9月3日まで。シュプレンゲルミュージアム(Sprengel Museum)、ケストナーゲゼルシャフト(kestnergesellschaft)、クンストフェライン・ハノーファー(Kunstverein Hannover)の3館で開かれており、共通券は14ユーロ、1館のみは6~7ユーロとなっています。

Made in Germany Drei公式サイト: http://produktionmadeingermany.de

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 
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