ミュンヘンはいわずと知れたビールの街。オクトーバーフェストでの陽気な音楽隊と大合唱を、ミュンヘン気質のシンボルのように思う方もいらっしゃることでしょう。でもなかには「私はワイン派なんです!」という方もいるはず。もしかしたら肩身の狭い思いをしていらっしゃるかもしれないワイン派の皆さん、ミュンヘンにも小規模ながら、毎年行われているワイン祭りがあるのをご存じでしょうか。
レジデンツ外壁にある、中庭へと続く入口
プファルツ・ワイン祭りは、今年で26回目。街の中心にあるレジデンツに面するワインレストランの主催で、レジデンツの中庭(Kaiserhof)で行われています。今年は7月25日~8月3日までの予定でしたが、前半あまりにも天気が悪く肌寒かったため、1週間延長して10日まで開催されました。
会場では、ワイナリーごとに販売のブースが設けられ、そこで注文したワインをレジデンツ中庭で楽しむシステムです。各ワイナリーご自慢の銘柄をそろえており、グラス、またはボトルで注文できます。グラスの場合、普通は1杯0.2リットルですが、ここでは0.1リットルのグラスから注文できるのがうれしいポイント。少しずつ試してみて、お気に入りのワインを見つけることができるのです。でも飲みすぎには、ご注意を。
レジデンツ中庭で開催されたワイン祭り。雨天にもかかわらず活気ある雰囲気
気に入ったワインが見つかったら、ケースで注文し、自宅まで配達してもらうこともできます。しかも送料無料とのこと。最近ではアルコールが苦手な方や車で来ているという方のために、ビールだけでなくワインにもアルコールフリーのものが登場しています。子ども連れには、ワインになる前のぶどうジュースや、ベリー類のドリンクがありました。
0.1リットルサイズのグラスに注がれた、甘口のシュペートレーゼ
フラムクーヘンやソーセージなどの食べ物も提供されていましたが、ワイン通はワインそのものの味を楽しむものなのか、食べ物の屋台は閑散としていました。テーブルを見渡しても、ほとんどの人がワインだけを飲んでいます。レジデンツの中庭というシチュエーションなので、「かつての王侯貴族も、ここでワインをたしなんでいたのかしら?」なんて想像しながらグラスを傾けているのかもしれません。ライブミュージックも、ビアホールのような陽気なカントリーではなく、シックなジャズ風。人々も静かに歓談していて、ビール祭りとは、全く違う雰囲気でした。好きなお酒の種類が人の性格に影響を与えているのか、逆に、その人の性格ゆえ、好きなお酒が決まってくるのか……そんなことを考えてしまいました。
イエス・キリストに出会って、声楽専攻から牧師に転身。2022年よりミュンヘン日本語キリスト教会牧師。今でも少女マンガ、オペラ、ダンスは大好きです。 www.muc-japan-christ.com/