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マックス・プランク研究所の「サイエンス・スラム」

自然科学や人文・社会科学など、幅広い学問分野で研究に取り組むドイツ随一の学術研究機関、マックス・プランク研究所。各分野の世界トップレベルの研究者たちが集まるこの機関は、1948年の設立以降、これまでに17人のノーベル賞受賞者を輩出しています。世界80カ所に設置されている同機関の研究施設の1つ、ミュンヘンの物理学研究所で4月半ば、「サイエンス・スラム」という一般市民向けのオープンイベントが行なわれました。

毎回満席になるほど人気を集めるこのイベント(無料、要事前申込)は、今年で3回目。今回は素粒子物理学分野の若い博士と博士課程の学生6人が各自の研究を発表し、そのプレゼンテーションの出来を競いました。専門家のみが集まる学会とは異なり、制限時間12分以内に「いかに一般の人に分かりやすく説明できるか」が評価のポイントになります。発表テーマは「弦理論(粒子を0次元の点ではなく1次元の弦として扱う理論)」や「ヒッグス粒子(理論上存在する粒子)」「CERN(欧州原子核研究機構=ジュネーブ近郊にある世界最大規模の原子核研究所。地下に全周27キロの円形加速器を持つ)の活動内容」「暗黒物質(理論上存在すると推測されるが、実際には確認されていない物質)」など。聞いただけでは難解なテーマですが、発表者は宇宙の膨張理論の説明に風船を使用したり、推測段階の研究をサスペンス風に仕立てたり、暗黒物質に関する説明ではスターウォーズのダースベイダーを持ち出すなど様々な工夫を凝らし、門外漢の私でも楽しく聞くことができました。

ミュンヘン
今年も満員となったサイエンス・スラムの会場

優勝者の決定には、同研究所の測定専門家が特別に開発した「喝采測定装置」を採用。これは、喝采の大きさをコンピューターで測定・分析する機械で、観客から一番大きな拍手を獲得した発表者が優勝となります。機械が示す結果は明快で、会場の誰にとっても納得の行くものでした。

さて、マックス・プランク物理学研究所では、6月30日(土)に一般市民が入場できる「オープン・デー」が開催されます(10:00~16:00 Föhringer Ring 6, 80805 München)。テーマは素粒子物理学や宇宙物理学など。実験室のガイド・ツアーやデモンストレーション、楽しく学ぶ物理学講座、子ども向けの紹介展示などのプログラムが予定されています。物理が好きな方はもちろん、苦手な方でも見聞を広める良い機会だと思いますので、お出掛けになってみては?

Max-Planck-Institut für Physik
www.mpp.mpg.de

ミュンヘン
優勝者へのトロフィー授与

 

Y. Utsumi
2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。会社員を経て独立し、現在はフリーランスとして活動中。家族は夫と2匹の猫で、最近の趣味はヨガとゴルフ、フルート。
 
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