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ゼンドリンガーから動物園へ、イザール左岸を散歩

ミュンヘン中心部にあるゼンドリンガー門から徒歩数分、高い塀に囲まれた「Alter Südfriedhof(旧南墓地)」があります。16世紀半ばに設けられた、ミュンヘン市民のための墓地です。当時のミュンヘンは市壁に囲まれ、人口は約1万5000人でした。ペストによる大勢の死者を埋葬するため、街の門の前、市壁外に新たな墓地が造られたことが始まりでした。1788年から1868年の80年間はミュンヘン市街居住者のための唯一の墓地だったこともあり、多くの有名人が眠ることでも知られています。戦争による爆撃での破壊と再建の歴史なども経て、現在では新たな埋葬は行われず、自然保護および記念碑保護地区として静かに時を刻んでいます。約10ヘクタールある広い敷地内は緑にあふれ、巨木が日光を遮り下草が茂る景観は、まるで森の中にいるようです。塀越しに聞こえる街の喧騒だけが、ここが市内の一角であることを伝えてきます。そして、仕事に向かう人の通勤路として、またベビーカーを押しての散歩やジョギングする人たちなど、日常的に親しまれている場所でもあるようです。

木漏れ日が美しい、旧南墓地
木漏れ日が美しい、旧南墓地

案内板には有名人のお墓マップが記されていて、ミュンヘンをつくり上げてきた建築家や有名な歴史家、芸術家、思想家、医者などの名前が。その中には日本研究者としてシーボルトも挙げられています。同氏の墓石には仏教的なデザインが取り入れられており、漢字が記されているため簡単に見つかりました。マップにはありませんでしたが、印象的なデザインの墓石を見ると、ビールのプショール(Pschorr)、シュパーテン(Spaten)などの創業者一族の名前もありました。

さて、Kapuzinerstraßeに面した門から出て左側に向かうと、イザール河に出ることもできますが、その手前に流れる小川、ヴェスターミュールバッハ(Westermühlbach)沿いの遊歩道を上流に向かって歩いて行ってみました。ほどなく、グローサーシュタットバッハ(Geroßer Stadtbach)とイザールに挟まれた緑地帯の遊歩道を見つけることができたので、そのまま進みます。途中、交通量の多い道路を避けるために歩行者用トンネルをくぐると、大きな緑地帯、フラウヒャー(Flaucher)が広がります。ここフラウヒャーの半ばほどにはビアガーデンもあり、緑に囲まれた中での一杯を心地よく楽しめそうです。

動物園(Tierpark)を目指して上流に向かって遊歩道を歩いて行くと、イザール河を渡る木製の長い橋があります。この日は残念ながら補修のため通行止めでしたが、爽快感のある景観が楽しめそうでしたので、またの機会に行ってみたいと思います。イザール河の遊歩道は左岸(Isarwerkkanal沿い)と右岸に設けられ、上流のグリュンワルド (Grünwald)まで続いています。散歩はもちろん、サイクリングにも最適。夏から秋にかけて、心地良い日差しと美しい水の流れが楽しめる、ミュンヘンの憩いの場です。

イザール河畔は、市民たちの憩いの場
イザール河畔は、市民たちの憩いの場

Yoshie Utsumi
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで 通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。 2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。
 
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