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目の見えない人気者ロバのカイユー

シュトゥットガルト郊外のラインフェルデン・エヒターディンゲンには、Siebenmühlentalというミル(製粉所)が点在している自然公園があります。その中でも人気のEselsmühle(ロバのミル)には、その名の通りロバがいて、昨年9月にかわいい雌ロバの赤ちゃんが生まれました。生まれてきた赤ちゃんは目が見えないのですが、地元の新聞紙に掲載されて一躍人気者になり、一目その姿を見ようと週末は多くの人が訪れています。

日の光に当たるカイユー日の光に当たるカイユー

そのロバの名前はカイユー。フランス語で「小石」という意味だそうです。Eselsmühleのナタリーさんは、カイユーが生まれてすぐに、ほかのロバとは少し違うようだと気がついたそうです。生まれた直後のカイユーは、母親のアイシャに拒否されたてしまったようで、敷地の草原の隅にポツリと立っていたといいます。それから3日間、少しも歩き出す気配がなく、ただただ隅に佇んでいるだけ。産まれて数時間経っていれば通常開くはずの目も閉じられたままで、元気な様子を見せることがありませんでした。その後、獣医の診察により、カイユーの片方の眼球は完全に失われていて、もう片方の眼球も曇っており、光に反応しないということが分かりました。獣医はカイユーの自立した生活が今後難しくなるであろうことを踏まえて安楽死も提案しましたが、彼女は生きるチャンスを与えられ、今や地域のスターとなっているのです。

ビオの食材を扱うお店ビオの食材を扱うお店

私もこのEselsmühleが好きでよく散歩に行くのですが、ついこの間行った時に、この人気者ロバのカイユーを見かけることができました。兄弟とすぐに分かるカイユーそっくりなロバさんも、すぐに見つけることができます。Eselsmühleにはカフェレストランがあり、天気が良く暖かい日にはニワトリが放し飼いにされている庭でも、食事を楽しめますが、現在は新型コロナウイルスの感染予防対策によりテイクアウトのみです。日曜日も開いている、ビオの食材やパンを販売するお店もあります。ここのパンはとってもおいしいですし、ロバの耳の形のクッキーも絶品。ちなみに、街のビオスーパーなどでもここのパンが扱われていることが少なくありません。そのほかにも、水車小屋がのぞけたり、少し先まで歩くと馬がいたりと、いろいろ楽しめます。

カイユーとそっくり。兄弟かな?カイユーとそっくり。兄弟かな?

カイユーは目が見えないとは思えないくらい、飛んだり跳ねたりと元気に走り回っていました。母親のアイシャも、今はカイユーを自分の子どもとして受け入れているとのことで、私が訪れた時もお乳をあげている姿が見られました。目が見えなくてもお母さんを探せてしまう自然の力、すごいものです。現在カイユーはほかのロバとも仲良くしていて、彼女の人生を楽しんでいるようです。ロバの寿命は30歳ほど。これからどんどん元気に大きくなるカイユーを見守っていけたらうれしいなと思います。

フンドハウゼン エリ
大阪生まれ、東京育ち。在シュトゥットガルト13年。Merz Akademie大学視覚コミュニケーション科卒。語学力を武器に、日本企業のリロケーションをサポートしながら、メディアデザイナーとしても幅広く活躍している。趣味はギターと読書。

 
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