9月7日、ベルリン市立博物館の主催で「ファミリー・サンデー」が開催されました。ミッテのニコライ地区に集まっている市立博物館を無料で公開し、子ども連れも楽しめるイベントがあちこちで行われました。久々にこのエリアを歩いて、「ベルリンの歴史を知りたいという方にはまずここをお勧めしたい」という思いを強くしました。今回のレポートでいくつかご紹介しましょう。
ベルリン市立博物館の特別展「ベルリンの中庭」より
まず、ベルリン最古のニコライ教会。数年前からここではベルリンの中世に焦点を当てた展示を行っています。ベルリンが双子都市として創設された頃の模型、古い天使像、中世から近世にかけての墓碑などが並ぶなか、天井からぶら下がるブルーの織物が目を引きました。作家のテレーザ・ヴェーバーが、ジャマイカ、ドイツ、ギリシャという自らのバックグラウンドとポストコロニアリズムとを対峙させて制作したインスタレーションとのこと。初めて上がった2階のパイプオルガンの前から祭壇への眺めが新鮮でした。
その後、近くのエフライム宮殿へ。2階と3階は常設展「BerlinZEIT」の会場になっています。ベルリンの起伏に富んだ歴史をコンパクトに概観できる展示で、大判の写真に加えて、各時代の玩具や生活用品など、「モノ」に語らせる手法が印象的です。面白かったのは、ベルリンの「におい」をクイズ形式で体験できるコーナー。「クーダムの香水」「西側からの小包」「トラバント」など、ちょっと体験したくなりませんか?
4階は、2026年1月18日(日)まで開催の特別展「ベルリンの中庭」。ベルリンの中庭(ホーフ)は今もおなじみの生活空間でありながら、19世紀後半以降の工業化の歴史と切り離せません。展示の入口には実際に使われていた郵便受けが設置され、トンネルを抜けて本物のホーフに入っていくかのような没入感を生む演出がされていました。住宅、工房、レストラン、映画館など、隠れた場所で時を刻んできたベルリンのもう一つの歴史が豊富な写真や絵画で紹介されます。
家族連れでにぎわったニコライ教会
ニコライ地区の博物館めぐりは、上記のミュージアムと、19世紀前半のビーダーマイヤー期の生活を展示したクノーブラウフハウスを見学できるコンビチケット(15ユーロ、18歳以下は無料)がおすすめです。
「BerlinZEIT」は、大規模な改修工事中のメルキッシュ博物館の代替会場として行われているもの。数年後にケルン公園に面したメルキッシュ博物館と隣接するマリーエンハウスの改修が終わると、新たな博物館・クリエイティブ地区として生まれ変わることになっています。
ベルリン市立博物館群:www.stadtmuseum.de