クラシック音楽の夏の野外コンサートといえば、ベルリン・フィルのヴァルトビューネがよく知られていますが、ベルリン国立歌劇場の「Staatsoper für alle」(みんなの国立歌劇場)もこの季節の風物詩として定着しています。5月の週末、この野外コンサートが20回目の節目を迎えました。
2日間で3万人が訪れたという野外公演の模様
「みんなの国立歌劇場」は、このオペラ座と長年のスポンサーであるBMWによる共同で、2007年に始まりました。タイトル通り、普段オペラハウスに足を運ばない人たちにも芸術を届けるという主旨のもと、劇場に面したベーベル広場を舞台に現在まで入場無料を貫いています。
私が初めて参加したのは第2回の2008年8月でした。ベートーヴェンのオペラ「フィデリオ」の舞台を広場のスクリーンでライブ中継し、翌日は野外コンサートとしてベートーヴェンの交響曲第9番が上演。この時から、オペラとオーケストラコンサートという「二本立て」が定着していきます。
日曜のコンサートでは、日傘をさす人の姿も目立ちました
当時は音楽総監督だったダニエル・バレンボイムの全盛期。上演時間が5時間を超えるワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」などオペラ中のオペラといった作品や、ベートーヴェンやブラームス、チャイコフスキーの交響曲が野外に鳴り響き、国際的にも知られるようになります。
さて、20回目となる今年は、ヴェルディの「ナブッコ」と、現在の音楽総監督クリスティアン・ティーレマン指揮によるコンサートというラインナップで開催され、私は5月24日(日)に行われたコンサートを観に行きました。25度を超えるこの時期にしては暑い日でしたが、昼過ぎにウンター・デン・リンデンに行くと、地元の人から通りすがりの観光客まで、すでにかなりの人で埋め尽くされています。ベルリンでは珍しく日傘をさす人の姿も。
指揮者のクリスティアン・ティーレマン
最初にコンサート本編の前座として、「オペラ座子どもオーケストラ」(Opernkinderorchester)による教育プロジェクトの本番があり、その後、ティーレマン指揮シュターツカペレ・ベルリンがベートーヴェンの交響曲第6番「田園」などを演奏。地べたに座る人もいれば、持参したレジャーシートや折りたたみ椅子に腰掛けて楽しむ人もあり、この自由さが「みんなの国立歌劇場」のいいところです。
通常はコンサート冒頭に置かれることが多いベートーヴェンの「エグモント」序曲が、最後をきりりと締めくくったのは爽快でした。次回は2027年6月12日(土)と13日(日)の開催。初めてバレエ作品の上演が予定されているとのことで、今から楽しみです。



インベスト・イン・ババリア
スケッチブック
中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『




