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Mi. 03. Mär. 2021

パノラマで体感する「ベルリンの壁」

かつて東西の国境検問所があったチェックポイント・チャーリーの跡地は、年間を通して多くの観光客が訪れる場所。昨年秋からここで、ベルリンの壁をテーマにしたパノラマ展「Die Mauer(壁)」が開催され、話題を呼んでいます。

制作したのは建築家でアーティストのヤデガール・アッシジ。アッシジといえば、一昨年秋にペルガモン博物館の前で行われた特別展「ペルガモン―古代首都のパノラマ」を当コーナーでご紹介していますが、あのときと同じく、ガスタンクを思わせる高さ18メートルの円柱の塔が会場です。

外観
パノラマ展会場の外観。展示期間は2013年末までの予定

暗闇の中を入っていくと、J・F・ケネディーやヴァルター・ウルブリヒトといった冷戦時代の政治家たちの有名な演説が聞こえてきます。そして徐々に明るくなり、目の前に壁の風景が現れました。1980年代のクロイツベルク地区、ゼバスティアン通りとルッカウアー通りの角にある架空の工事現場から東ベルリンを眺めているという設定です。

雲が重くたれ込める秋の日、左側のアパートのすぐ目の前にまで立ちはだかっている壁。グラフィティを描く人や記念撮影をする観光客の姿が見え、その向こう側には東側の広大な緩衝地帯が広がります。人の気配がほとんど感じられない中、監視塔の国境警備兵が双眼鏡でこちら側を覗き、緩衝地帯に取り残された1軒のアパートには人影が。自分の意志では決して来られない西側を目の前にして、あの人は一体どんな思いで「こちら」を眺めているのか……。

パノラマ
高さ15メートル、幅60メートルのサイズで再現されたパノラマ

原寸大で再現された風景だけに、そのリアル感は相当なもの。しかし、写真で知る当時の風景とは微妙に違うことに気付きました。アッシジの説明によると、「当時の生活の表情をできるだけ多く見せるため、歴史的に完全な形で再現することにはこだわらなかった」。パノラマの左側半分が実際の風景を忠実に再現しているのに対し、右側半分は視界の邪魔になる建物を取り除き、代わりに当時この地区で一般的に見られた不法占拠のアパートを置くなど工夫。パンクスや街角のインビスなど、細かいディテールまで観察のし甲斐がありました。

壁があった時代の日常。それは、現在のベルリンの姿しか知らない人にとってはあまりに異常な風景です。しかし80年代当時、このパノラマで描かれた界隈に実際に住んでいたアッシジは語ります。「当時は壁のある生活が当たり前で、人間はあんな状況にも慣れてしまうものだ。でも、いつどこでそれが再び起こらないとは限らない」。

現在のチェックポイント・チャーリーはすっかり観光地化しているため、少しでも壁があった時代の空気を感じてみたいという方にお勧めのスポットです。

Die Mauerのオープン:
毎日10:00~18:00(2013年末まで)
入場料:10ユーロ(割引8.50ユーロ)
www.asisi.de

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(ダイヤモンド社)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし) ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
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