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クーダムに登場したオレンジ色のボックス

ドッグサービス
オレンジ色が目印の
「ドッグサービス」
ベルリンはドイツの中でも、犬に対してとりわけ寛容な町として知られています。現在役所に登録されている犬の数は10万4000匹で、届け出のない犬、つまり不法に飼われている推定6万匹と合わせると、市民の約20人に一人が犬を飼っている計算になります。

そんな町を悩ますのは、飼い主が処理しない犬の「置きみやげ」の問題です。清掃に当たるベルリン市清掃局(BSR)によると、その量は1日で55トンにも達するそうで、フンボルト大学が最近実施した「大都市の清潔度」に関する調査では、「歩道に散乱する犬のフン」への人々の不快度が「公共物への落書き」より上位にランキングされました。

この状況を見かねたのか、最近BSRがようやく本格的な対策に乗り出しました。都市広告のWall社と提携した「ドッグサービス」で、目抜き通りクーダムに面したジョージ・グロス広場(George-Grosz-Platz)など約50カ所に、犬のフンを処理する袋とゴミ箱がセットになったオレンジ色の細長いボックスが設置されたのです。

フン袋は、ビニール袋に手を入れてつかみ取るという単純なものではなく、紙袋の両側に付いた厚紙を両手で持ち、シャベルのようにすくい上げて取るという、なかなか工夫が凝らされたもの。現在、シャルロッテンブルク・ヴィルマースドルフとテンペルホーフ・シェーネベルクの西側2地域の限定サービスですが、利用者の反応を見ながら、ほかの地区へ導入することも検討中だそうです。

「それでもベルリンは、10年前に比べると明らかにきれいになった。ヨーロッパの大都市と比較しても、例えばパリのほうがよっぽど汚い」(小売店組合幹部)、「街の清潔度の低さは、旅行者にとって大きな問題ではない」(ベルリン・ツーリスムス・マーケティング)という声も聞かれますが、歩道をいつも注視せずに安心して歩けるかどうか、特に初めてベルリンを訪れる人の「町のイメージ」に及ぼす影響は、決して小さくはないように思います。

オレンジ色のボックスがベルリンの犬愛好家たちの間に定着するかどうか、気になるところです。

ブランデンブルク門
「人と犬。清潔な都市のために」と書かれたゴミ袋

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(学研プラス)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし)
ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
守屋 亜衣(もりや あい)
2010年頃からドイツ各地でアーティスト活動を開始し、2017年にベルリンへ移住。ファインアート、グラフィックデザイン、陶磁器の金継ぎなど、領域を横断しながら表現を続けている。古いぬいぐるみが大好き。
www.aimoliya.com
佐藤 駿(さとう しゅん)
ドイツの大学へ進学を夢見て移住した、ベルリン在住のアラサー。サッカーとビールが好きな一児のパパです。地元岩手県奥州市を盛り上げるために活動中。
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