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文化とアートの発信地として20周年 riesa efau

ドレスデン・ミッテ駅の西のフリードリッヒシュタット(Friedlichstadt)は駅裏の荒れた地区で、古く荒廃した建物が目立ちます。ここにある文化とアートの協会「リーザ・エーファウ(riesa efau)」は今年3月に20周年を迎えました。入り口のドアは古く、玄関ホールは荒れた感じがするので驚きますが、ホールの掲示板に貼ってある数々のコース受講の案内やお知らせ、メモを見ているうちに、充実した活動内容と活気が伝わってきます。

かつてこの建物はペンションでしたが、1980年代には空き家になっていました。そしてこの地域のアーティストたちが違法に住み着き、自分たちのアトリエやギャラリーを整えていったことが協会設立のきっかけでした。次第に活動が順調になり、1990年に正式にドレスデンで9番目の協会として認められて、同年3月16日に食堂シュタット・リーザ(Stadt Riesa)、4月11日にギャラリー・アドラーガッセ(Galerie Adlergasse)がオープンしました。2008年には多世代ハウスに正式に登録されて、さらに世代を超えた人々の交流が増え、今では地域の福祉施設的な役割も担う存在となっています。

ギャラリー・アドラーガッセ
古い木の床と白い壁のギャラリー・アドラーガッセ

協会の主軸である文化とアートの活動は多岐に渡り、絵画、スケッチ、彫刻、写真、版画、グラフィック、シルクスクリーン、リトグラフ、ウェブデザイン、陶芸、モビール(動く彫刻=キネティック・アートの一種)、デジタル写真などのコースが開催されています。毎年夏に2週間開催されるサマーアカデミーは今年で13回目を数え、例年多くの参加者で大盛況だそうです。また、向かいにあるのはかつてガソリンスタンドと付属の修理工場だったアトリエ。サマーアカデミーの時期は制作に没頭する人たちで溢れかえり、この協会が最も活気付きます。修理工場だったアトリエは大きな空間で、地域再生のコンペ案が展示されたり、生演奏あるいは生の効果音付で映画が上映されたりと、積極的に利用されています。そしてグランドピアノのある本館最上階のホールでは、かつて近くにある音大の卒業試験が行われていましたが、現在ではシニアのためのダンス教室が開かれています。1階の食堂も活動の1つとして開放され、月曜日はビールも含めてメニューが安くなるため、一層賑わいます。

アートは、コミュニティーや交流をテーマとする際に、その求心力としてよく引き合いに出されますが、集まる人が限定され、軌道に乗るには程遠いケースが多々あります。そのような中、riesa efauは極めてうまく運営されている好例と言えます。まずはギャラリーや食堂だけでも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。www.riesa-efau.de

リーザ・エーファウ(riesa efau)
本館の建物で、角が食堂の入口

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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