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塔にのぼろう! 聖母教会

8月に取り上げた前回の三王教会に続き、今回は聖母教会(Frauenkirche)の塔をご紹介します。塔というよりはむしろクーポラ(半球形に作られた丸天井)の頂上で、「ランタン」と呼ばれる部分です。

聖母教会はドレスデンの大工長ゲオルク・ベーアの采配の下、1726~43年にかけて建設されました。1945年2月13日に始まったドレスデン爆撃の2日目に火災によって崩壊し、東ドイツ時代を通して、爆撃の象徴として廃墟のまま残されました。その再建は、再利用可能な石材を、コンピューターを駆使して元の場所にはめ込むという、途方もない時間と労力を要する作業で「世界最大のパズル」と言われていましたが、2005年に完成。クーポラの規模としては、アルプス以北では最大で、1万2300個の砂岩が使用されています。その姿から「石の釣鐘」と呼ばれ、あまりにも特徴的な外観のため、都市のスカイラインを最も決定付けているシルエットと言えるでしょう。

ドレスデン
聖母教会のクーポラとその上の展望台。
右側の壁は「君主の行列」

教会の十字架は地上約91メートルにあり、ランタンの展望台までの高さは67メートルです。まず、26メートルの高さまではノンストップのエレベーターで上ります。そしてしばらく、くねくねと白い漆喰の壁に覆われた通路を進むとクーポラの根元に到着です。そこからはクーポラの外周を囲う螺旋(らせん)状のスロープを上って行きます。内側はところどころガラス張りになっていて、教会の内部を見下ろすことができます。ここではガラスを枠ではなく点で留める新しいDPG工法が用いられており、石材の表面をノミで削った伝統的な凸凹模様が施された時代との時間差は何百年あるのだろうかと考えてしまいます。

クーポラの上に近付くにつれて上部から壁にかけての湾曲がきつくなり、いよいよクライマックスです。これまでにバチカン宮殿やフィレンツェのドゥオモのクーポラ登りも体験してきたので、クーポラ上部の迫り来る湾曲の気迫を思い出しました。最後は急勾配の階段。姫路城の天守閣の階段を彷彿とさせます。そして螺旋階段を上ると、多くの観光客の手によって、すでにペンキが剥がれたドアが待っていました。

私が登った日は、クリスマスマーケット準備中の街の様子を眼下に見ることができました。登る際に解説付パノラマ写真のパンフレットをもらえるので、それと照らし合わせながら眺めると、ドレスデンをより詳しく知ることができます。裏メニューとして、屋根の上のテラスや中庭のバルコニーなど、表からは見えない人々の暮らしぶりを上から覗き見ることができるのも、ちょっとした楽しみです。

www.frauenkirche-dresden.de

ドレスデン
クーポラの内部。教会の内部が下に見える

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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