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蛇がテーマのカフェ併設ギャラリー

私の子どもたちが通うノイシュタット地区の保育園の斜め前辺りに、不定期にオープンするギャラリーがあります。道路に面して展示ケースがあり、その中にはなんと蛇が! 保育園に通う子どもたちは毎日食い入るように蛇を見ていましたが、昨年9月、カフェ併設のギャラリー「蛇バー(Schlangenbar)」として改めてオープンしました。ここに至るまでの長い道のりを、オーナーでギャラリストのトーステン・プロウスさんが熱く語ってくれました。

プロウスさん
暖かな色と温もりが感じられる不思議な内装。
右がプロウスさん

東独ドレスデン生まれのプロウスさんは1984年に正式な西独への旅行許可を取得し、妻子を置いて故郷を離れる決意をしました。その数年後にはドイツ統一を迎えますが、当時の心境はまさに「いつ再会できるか分からない片道切符」でした。その後ジャーナリストになる決意をし、国内の雑誌・新聞・テレビ局のレポーターおよびライターとして活躍。権威ある賞を受賞するなど、成功を収めていました。2000年、シドニー五輪の特派員としてオーストラリア渡ったことを機に、当地に8年間滞在。帰国後、20年来の知り合いである画家ユルゲン・ドライスィヒさんと共にギャラリーを立ち上げました。

芸術家肌のドライスィヒさんは東独時代、画家としては生活できず、ドレスデンの動物園に勤務。そこで蛇に魅了され、蛇の絵を描き始めました。絵だけでなく家具や展示ケース、食器、室内装飾なども制作していますが、テーマは一貫して「蛇」。ギャラリストのプロウスさんはドライスィヒさんの作品の良き理解者として、市場とアーティストを結び付けるプロデューサーの役割を担っています。アーティスト1人では作 品が埋もれ、逆にビジネスに比重がかかり過ぎるとアーティスト本人が壊れてしまう危険性があります。蛇バーは小さなギャラリーながら、アーティストとプロデューサーの良好な関係によって軌道に乗りつつあるようです。

蛇バーの入り口
蛇バーの入り口。ショーウィンドーの中にはいつも蛇
が展示され、道行く人が覗き込んでいます

すべての作品は蛇のテイストを前面に押し出した「スネーク・ライン」で、販売もされています。今後の夢は、要望があればドライスィヒさんが世界中どこにでも出向き、現地で内装を仕上げたりすることだそうです。その昔、優れた職人や芸術家が時の君主や貴族に招待されて現地に赴き、仕事をすることは多々ありましたが、まさにその現代版と言えます。

カフェの中には5大陸の蛇が5匹います。プロウスさんいわく、「お客さんは恐る恐る入って来ますが、ドライスィヒさんの世界に入って蛇を見ながら一回りした後は納得したような表情になります」とのこと。ちなみに、ドライスィヒさんはこのギャラリーの上階に蛇と一緒に住んでいるそうです。

ギャラリー「Jürgen Dreißig」
www.30online.de

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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