Hanacell

市民の生活に深く溶け込むモーリッツブルク城

週末は郊外へドライブして楽しみたい」というドレスデン市民がよく出かける場所の一つに、町の中心から北北西約15キロのところにある、自然保護区の森の中に建つモーリッツブルク城(Schloß Moritzburg)があります。モーリッツ公爵の狩猟の館として1546年にルネサンス様式で建てられ、その後アウグスト強王自らが設計するという肝煎りで1723年から10年かけてバロック様式の狩猟兼離宮に改築されました。

現在はバロック博物館(Barockmuseum)として使用されており、アウグスト強王が熱烈に集めた古伊万里のコレクションや専用馬車の展示のほか、さまざまな鳥の羽を用いた調度品が目を引く羽根の部屋(Federzimmer)や鹿の角コレクションなどが、狩猟の館だったことを物語っています。

城内にある礼拝堂では洗礼式や結婚式が行われ、併設のカフェでパーティーが開かれることもしばしば。周囲を囲む豊かな森は散策に最適で、城の周辺に点在する素敵なカフェやレストランでひと息入れるのも楽しみの一つです。また、城をぐるりと囲み、その姿を水面に映し出す広大な池は、冬には凍結して自然のスケートリンクとなり、手にスケート靴やソリを持った人々が次々とやって来ます。

蘇った聖母教会
馬車で乗り付けるためのスロープが、正面玄関まで続く
©DZT/Immel, Hagen/Investitions- und
Marketinggesellschaft Sachsen-Anhalt mbH

城までは車で行くのがいちばん便利ですが、Sバーンのラーデボイル東(Radebeul-Ost)駅からSL“Lößnitzgrundbahn”に乗るというのも一興です。1884年に開通した狭軌鉄道は全長16.55キロですが、子どもたちはもちろん、鉄道マニアにも人気で、これを最大のハイライトにドレスデンに来る観光客もいるほどです。

このように、バラエティに富んだ「楽しみ」をたくさん持ち合わせていることがモーリッツブルク城の魅力なのかもしれません。観光のみに活用されるのではなく、市民の生活のさまざまな場面において寄り添える存在であること、それがこの城の特徴であり愛される理由でしょう。これは、過去の遺産の一つの在り方の好例ともいえます。

また、巨大な城を空から見下ろすこともできます。ドレスデン空港に着陸する直前に機体右下に見えますので、ドレスデン訪問の際にはご注目ください。

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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