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モーリッツブルク城近くのキジ城

2008年1月にこのコーナーでご紹介したモーリッツブルク城の周辺には、豊かな森といくつもの湖や沼、農地が広がり、四季折々で大変美しい風景を見せます。気温が上がり、素晴らしい秋晴れとなった10月の週末、美しい自然を求めてモーリッツブルクの森へ出掛けました。作業中のトラクターを横目に砂利道を歩き、しばらくすると森の中へと入って行きます。木漏れ日を浴びながらさらに進むと、その先は森が開けて両側に湖が広がり、白鳥やカモたちが湖面を滑るように、気持ち良さそうに泳いでいました。

さて、今回の散歩の折り返し地点は、モーリッツブルク城の周辺に点在している城のうちの1つであるキジ小城(Fasanenschlösschen)と灯台です。モーリッツブルク城が1723年から10年を掛けてアウグスト強王の肝煎りで狩猟用の城館として整備されたことに伴い、1728年にこの城から東へ延びる軸線上に、狩猟用のキジの飼育所が建てられました。

キジ城
小高い場所に建つ、ピンクの壁が印象的なキジ城

その後、七年戦争(1756~63年)によってキジの飼育所は庭園と共に荒廃しましたが、1770年から、飼育所が立っていた場所の上に新たに夏用の小さな城の建設が始まりました。ロココ様式で建てられたこの城ですが、建築的には当時欧州で大流行していたシノワズリ(中国趣味)の影響が色濃く見受けられます。しかも、当時は「Der Japan」という名前でした。

灯台
岬の先に立つ灯台に見立てた演出たっぷりのザクセン州唯一の灯台。弓なりの道が人々を誘います

時代は下って2007年、キジ城の全面改修が行われました。城の中にはキジのはく製が随所に置かれ、小さいながら優雅で軽やかな部屋が続きます。パリのベルサイユ宮殿の庭園内にあるトリアノン宮殿と同様、広い宮殿内で常に多くの人々に囲まれていた王家の日常にあっては、こぢんまりとした離れでの気軽な生活が望まれていたのでしょう。

この小さな城の東側には湖が広がり、湖に向かって突き出た先にはピンクの灯台があります。「水のある場所に灯台」という光景は日本人にはお馴染みですし、この城の公式ウェブサイトでも謳われているように、これが「ザクセン州で唯一の灯台」であることに間違いはないのですが、見晴らしが良く荒波も立たない湖に灯台は必要ないのでは?とも思ったりするのですが……。ともかくも、モーリッツブルク城周辺におけるアクセサリーとも言えるこの灯台は1770年に建てられたもので、上部にはシノワズリが用いられ、まるでパゴダ(仏塔)のようです。毎年5~10月の第1・第3日曜日に一般公開されており、74段の階段を上って、頂上から豊かな森と湖を眺めることができます。小城から灯台へと下る途中には常設屋台があり、ソーセージなどの軽食が販売されています。

www.schloss-moritzburg.de/de/fasanenschloesschen

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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