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クリスマスのお菓子「ベートメンヒェン」

煌びやかに飾られた街並み、華やかなショーウインドウ、そして幻想的なクリスマスマーケット……。11月後半からのドイツは、まさにクリスマスムード一色です。デパートの食料品コーナーやスーパーでもクリスマス関連の食品が並び、特にお菓子コーナーでは、色鮮やかにラッピングされたお菓子たちについ手が伸びてしまいます。シュトレンやバウムクーヘン、レープクーヘン、星型のシナモンクッキーなどのほか、フランクフルトならではのクリスマス菓子もあります。ベートメンヒェン(Bethmännchen)と呼ばれるマジパン菓子で、丸めたマジパンにアーモンドが3枚飾り付けられているのが特徴です。

ベートメンヒェン
この形にも歴史とこだわりがあります

このお菓子の歴史は古く、レシピが初めて登場したのは16世紀後半と言われています。その後、教会のミサや式典で振舞われるようになり、17世紀末にはフランクフルトの名物となりました。各家庭やお店に独自のレシピがあり、代々語り継がれてきたそうです。中でも、詩人ゲーテの祖母が考案したレシピは有名とのこと。その頃はまだ、このお菓子に名前は付いていませんでしたが、1838年に銀行家で市議会議員のベートマン(Bethmann)家の会食で振舞われたことで、ベートメンヒェンの名前が付きました。

このお菓子にまつわる1つの逸話があります。当初ベートメンヒェンに飾られていたアーモンドの数は、ベートマン家の4人の息子にちなんで4枚だったそうです。しかし1845年に四男が亡くなったことで、アーモンドが1つ外されて3枚になり、以降この形がベートメンヒェンの公式フォームとして広まったようです。(しかし、四男が亡くなる約20年前に長男が亡くなっているので、この説を疑問視する声もあるようです)

日本でマジパンといえば、飾り(細工)の材料というイメージがありますが、ドイツではそのまま頂くのはもちろん、ケーキのスポンジに加えてしっとり感を出したり、チョコレートのフィリングになったりと大活躍。そもそもドイツのマジパンは日本のマジパンよりアーモンドの比率が高く、味わい深いので、これまでマジパンが苦手だったという方でも、「ドイツで食べたら案外いける!」なんてこともあります。

かく言う私も、日本ではマジパンを毛嫌いしていましたが、このベートメンヒェンは大好きです。ナッツのほんのりとした甘みとやわらかい歯触りが、素朴ながら後を引きます。日持ちするので(2週間ほど)、贈り物にも最適ですよ。デパートのお菓子コーナーはもちろん、この時期はケーキ屋やクリスマスマーケットなどでも購入できます。

ベートメンヒェン
ケーキ屋さんでは、こんな風に陳列されていました

石野 あやか(いしの あやか)
ドイツW杯の折に渡独。初めてのドイツ、初めてのヨーロッパの地がフランクフルトでした。昼間から堂々とビールを飲める素敵な文化に魅せられて、1年間の滞在予定が、気がついてみれば3年目突入。こうなったら、次のW杯もドイツで観戦だっ!
 
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